丹波はジュラシック・パークだ!(丹波竜その2)
 (郷土史の談話 17)
丹波はジュラシック・パークだ!(丹波竜その2)   

(篠山層群が露出している川代渓谷)
 丹波竜(竜脚類ティタノサウルス形類)の化石が2006年に発見されて以来、篠山層群では、獣脚類ティラノサウルス類(肉食恐竜)など6グループ、ほか哺乳類、トカゲ、小動物の化石が次々と見つかっています。しかも、この様な多種の化石が見つかるのは、福井県・岐阜県の手取層群と熊本県の御船層群ぐらいで、篠山層群は特に化石が密集していることが特徴です。
 2011年1月には、またも地元小学生が体験発掘会で、鎧竜類恐竜(アンキロサウルス類)の歯の化石を、また同じく地元の方が獣脚類恐竜(テリジノサウルス類)の歯を見つけたり、2011年10月にも、別の県立公園内でも化石密集地帯を窺わせる発見の発表も相次ぎ、恐竜の主なグループが丹波にいたことを窺わせます。
 正に、篠山層群を抱える丹波地域は「ジュラシック・パーク」なのです。
次々と発掘される恐竜時代の化石(篠山市・丹波市)
【篠山層群とは】
 篠山市の篠山盆地、丹波市山南町東部に分布する白亜紀前期の陸成層で、古生代ベルム紀から中生代ジュラ紀にかけて形成された基盤岩類を覆う形で分布。下部層と上部層に分けられています。丹波市に分布する篠山層群は全て下部層とされています。分布域の西部では、篠山層群より新しい白亜紀後期の火山噴出物が中心の有馬層群に覆われています。
 丹波(篠山盆地、山南町東部)の篠山層群下部層は、主に、篠山市の川代、味間、宮田、黒田、東吹、熊谷、沢田、新荘、瀬利、今谷、春日江の周辺に、丹波市山南町では上滝、下滝、阿草の周辺に分布しています。
 篠山層群の地層年代は、これまでは1992年の測定結果に基づいて約1億4,000万〜1億2,000万年前(中生代前期白亜紀)としてきましたが、兵庫県内の研究者による最新方法での測定により、3,000万年ほど新しい、1億1,500万年〜9,700万年前と推測し、約1億1,000万年前を目安とすることとされました。(2010年8月)
郷土史の談話室
(6)丹波竜へのいざない・恐竜化石大発見!
  2007年1月から始まった発掘調査は、2012年1月の第6次まで、国内最高例ともいえる数々の貴重な発見があって、 一躍国内のホットスポットになりました。しかし、発掘調査の地点で範囲拡大の難しさや、発見位置や地点の分散化などあって、2012年度は調査を見送り。 クリーニングの継続など状況を整理していました。

(1)発掘調査の一時中断(2013年3月)
 発掘調査地点の川では、これ以上の調査を進めるためには護岸の掘削も必要になり、費用が膨大になること、 また、既に採掘した化石を含む岩石のクリーニング作業が4分の1程度しか済んでいないので、今後3年程度はこのクリニング作業を進めて発掘成果を出すことに専念する、 として兵庫県立人と自然の博物館は現地での発掘調査を一時中断することとしました。
(2)恐竜化石保護条例(丹波市)の緩和(2013年3月)
 丹波市は、恐竜化石発見地の化石採取禁止区域を決めて、盗掘防止を図ってきたが、恐竜への関心喚起と、市民による発見などの協力を期待して、保護区域の範囲を現在の発掘現場周辺(現場と上下流20m以内)に縮小限定しました。

(丹波市が発行したパンフレット・2011年)

たんば恐竜・哺乳類化石等を生かしたまちづくり推進協議会が発行した恐竜化石マップ・2012年
(3)発掘化石「真獣類」の新種に初学名(2013年3月)
 2007〜2008年の発掘調査で発見された下顎の化石が、このほど、新種の「真獣類(現在の哺乳類の9割以上)」として、「ササヤマミロス・カワイイ」の学名が付された。学名は、「篠山」と「臼(のギリシャ語)」と「(篠山出身の世界的霊長類学者)河合雅雄さん」にちなんで命名された。
(4)丹波竜の竜脚類化石が新属新種と判明、学名を「タンバティタニス・アミキティアエ」(2014年8月)
 兵庫県立人と自然の博物館の三枝春生主任研究員たちの論文が国際学術誌に掲載されました。丹波竜はやはり新種の恐竜であることが確認されました。 これまで発掘された竜脚類化石の尾堆(尾の骨)や脳函(頭の骨)などを分析し、血道弓が他の竜脚類より長く、尾堆上部の棘突起が大きく湾曲し、脳函のV字型切れ込みなどの固有の特徴があり、新種と特定されました。今後、更なる化石のクリーニング作業や脳函などのCTスキャン調査が行われる見込みです。
          ※タンバティタニス・アミキティアエ=丹波(タンバ)+女の巨人(ティタニス)+友情(アミキティアエ)
(5)違った地層から新たな丹波竜の化石発見(2014年9月)
 竜脚類の肋骨とみられる化石が、以前の地層より少なくとも数万年後の前期白亜紀(約1億1千万年前)地層から発見されました。2014年の4月5日に、小学生たちの「週刊まなびー」の取材活動を指導していた丹波竜第一発見者の村上氏によって発掘、県立人と自然の博物館で新たな発見であると発表(同年8月29日)しました。続いて行われた試掘で採取された化石を今後調べて、本格採掘が必要かどうか検討されます。

(6)新種のトカゲ化石を発見(2015年2月)
 当初、2007年11月に白亜紀前期の篠山層群下部層(約1億1千万年前)から発掘されていた化石、右下顎の骨(長さ約2.2cm)が新種のトカゲ(全長約70cm)の骨と、県立人と自然の博物館が突き止めた。そして、化石産出地発見者の足立さんにちなんで、「パキゲニス・アダチイ」と名付けられました。当時陸続きであった中国大陸山東省で1999年に発見されたものと同属で、歯の形や大きさが異なるため新種と判断されました。
(7) 世界的にも貴重、国内初新種の恐竜卵化石発見(2015年6月)
 篠山層群下部層(約1億1千万年前の白亜紀前期)から恐竜の卵の化石5種類を発見、うち1種類が新属新種と判明した、と兵庫県立人と自然の博物館が発表。ほか3種の国内初の発見です。
 新属新種の卵は「ニッポノウーリサス・ラモーサス」と名付けられました。現在、2007年〜2012年に6次の発掘調査で採取保管していた石を再点検し、約90点の卵殻のかけらを抽出、発見しました。正確な色や形、大きさはわかりませんが、大体ニワトリの卵の一回り大きく細長い卵のようで、ラプトルのようで体重15〜20kgの小型で二足歩行する肉食恐竜(獣脚類)のものではないかとみられています。
 また、3月には上滝地区に丹波竜のモニュメント(実物大)が建てられました。

(8)二足歩行の小型獣脚類恐竜か鳥類の卵の化石群を発見(2016年1月)
 兵庫県人と平成13年に丹波竜の化石発掘調査を一時中断した翌年2014年から活動を開始していた地元住民による民間発掘隊、「上久下地域自治協議会」が、博物館などの協力を得て実施してきた丹波竜発見場所近くの泥岩層から卵の化石を発掘。直径約10pの範囲から卵化石1個、別のA4紙サイズの範囲から卵化石3個、また、卵殻の破片化石約100個を確認したと、博物館が発表。形を保持した卵化石から、大きさは横約2p、重さ推定で12〜15g、ニワトリの卵よち小さい。白亜紀前期での獣脚類恐竜や鳥類の卵化石とみられ、世界的にも6例と珍しい。今後、営巣、繁殖行動などの解明が期待されます。

(丹波市が発行したパンフレット・2015年)
(9)丹波竜発見後同年、1年後に発掘されていたカエルの化石、新属新種だった(2016年2月)
 2008年、2009年と丹波竜と同じ篠山層群下部層から発掘されていた化石から発見されたカエル化石2点が、緻密なクリ−ニングの結果、それぞれ新属新種と確認された、と兵庫県人と自然の博物館が発表した。
 学名は、「ヒョウゴバトラクス・ワダイ」と「タンババトラクス・カワズ」と命名されました。
(10)丹波竜は日本の史上最大級の陸上生物でスローライフ型(2017年1月)
 最近の研究から、丹波竜の生態が明らかになってきました。首だけで5m以上、全長で10数mという巨大恐竜だった「丹波竜」は、日本の史上最大級の陸上生物であり、ユニークな生態でした。長い首桁外れに巨大なお腹を持った独特の体型で、植物食で、巨体ゆえののんびりと余り移動しない超スローライフを送っていたのではないかと考えられています。
 意外と小さい歯で、巨体を維持するエネルギーを得るために、大量の植物の噛まないで丸呑みし、大きなお腹の中には特に発達した胃や腸などの消化器官内に微生物を大量に抱えて、その働きで必要なエネルギーを消化吸収していたと思われます。
 また、巨体ゆえの肉食恐竜から襲われることは少なかったと考えられています。しかし、産卵場所に固まって誕生した赤ちゃん丹波竜は、親竜とはなれ、その多くは肉食恐竜の餌食になったでしょう。でも、赤ちゃん丹波竜の成長は生まれた時は人間並みの3kg程度だったのが、数年で5m程度になり、大人の丹波竜の群れに合流することで無敵の生存能力を手に入れていました。これは丹波竜の脳の特徴に極端に肥大化した脳下垂体から、成長ホルモンが大量に分泌されて、早く巨大化する生存戦略があったと考えられています。
 無敵の巨体でスローライフな丹波竜が、1億1千年前の篠山層群の大地を闊歩していたのですね。(NHK『ダーウィンが来た』を参照しました)
 これまでの一連の発見で、丹波市と篠山市にまたがる篠山層群を抱えるこの地は、恐竜たちの営巣地で、これからどんな凄い大発見がでてきても不思議はありません。まさに「ジュラシック・パーク」ではありませんか。
 地元は、「今後とも丹波竜をまちづくりに生かし、恐竜化石の重要性再認識をアッピールして、調査が再開されることを期待する」としています。残りの採取岩石のクリーニング作業で、重要な化石が発見されれば、また一層の発掘調査が再開されることはまちがいありません。
 恐竜ブームのお陰で、地域・郷土のことを探求するムードが高まっていることの顕れでもあり、誰もが恐竜と聞いただけでワクワクしてくるものがあります。将来は、博物館に丹波竜棟が、現地には丹波竜館が整備されて、恐竜ファン・研究者だけでなく、多くの人たちが知的探求心をくすぐる郷土史探訪への足を踏み出されて、大いに賑わうことになるのでしょう。期待して待ちましょう。
●丹波竜発掘に触れることのできる施設

(丹波市旧上久下村営上滝発電所記念館)

●「丹波市旧上久下村営上滝発電所記念館」
 恐竜発見地の岸に残されていた村営発電所の跡を「丹波市旧上久下村営上滝発電所記念館」として地元の貴重な産業遺産・近代化遺産を公開するとともに、恐竜発見の地層なども間近に見れる恐竜館として、来訪者へのPRを開始しています。(2010年2月オープン)
(所在地:丹波市山南町上滝八ヶ坪1312-2)
(1階展示:旧上久下村営上滝発電所ものがたり、発電所写真パネル、マイクロ水力発電所装置。 2階展示:恐竜が歩いた大地、丹波市くげたに観光マップ、恐竜化石発掘ニュース、四季の映像ギャラリー。 休館日:月曜日・火曜日は休日、祝祭日の場合は翌平日、年末年始、その他イベント等により変更あり)


●「元気村かみくげ」
 また、発見地に隣接して、採取石片から化石を見つけ出す作業、化石発掘体験に参加(有料300円。土・日・祝日のみ)できる「元気村かみくげ」もできました。(2010年4月オープン)

左写真:「元気村かみくげ」

(丹波竜化石工房「ちーたんの館」)
●丹波竜化石工房「ちーたんの館」
 丹波市で化石が見つかった大型草食恐竜「丹波竜」への理解を深めてもらうため、丹波市は展示施設「丹波竜化石工房」の展示を刷新、新装オープンした。(2011年1月新装)
(所在地:丹波市山南町谷川1110)
(展示面積:約670u、従来の4.7倍。 展示:壁面に丹波竜の骨格図、全長13m、高さ3.5mが飾られ、クリーニング作業を終えた部分から骨格模型を貼り付ける。丹波竜化石が発見された当時の現場再現模型。本物の化石約30点など。 入場有料。月曜および年末年始休館。午前9時〜午後4時)

●兵庫県立人と自然の博物館
 丹波市で発掘された恐竜化石、カエル等小動物化石などを展示した「丹波の恐竜化石」ブース(3階)。また、発掘した化石のクリーニング作業が見学できる「ひとはく恐竜ラボ」(4階、屋外別棟。2008年4月オープン)が設けられている。
(所在地:三田市弥生が丘6丁目)
(開会時間:10〜17時。休館日:月曜日、ただち祝日の場合は翌日、年末年始、臨時もある。入場有料。)
左写真:兵庫県立人自然の博物館に併設されている「ひとはく恐竜ラボ(クリーニング作業場)

※クリックして下さい。
「郷土史にかかる談話室」メニュー へ戻ります。

※クリックして下さい。
「神戸・兵庫の郷土史Web研究館/郷土史探訪ツーリズム研究所」のトップ・メニューへ戻ります。

当研究館のホームページ内で提供しているテキスト、資史料、写真、グラフィックス、データ等の無断使用を禁じます。