鉄道廃線ノスタルジア
  (郷土史にかかる談話 21)
鉄道廃線ノスタルジア
 明治5年(1872年)の東京・品川間を最初に、文明開化のシンボルとして日本の発展、私達の生活利便に密接に貢献してきた鉄道。
 轟音を響かせ疾走する列車、何処までも続く線路、正に空を飛ぶがごとく身を運び、乗客の目に移り変わる風景の変化。・・・・・世に鉄道ファンが多いのもむべなるかな。

「旧国鉄・神戸港臨港線跡」岩屋周辺
(現在は撤去済み)
 ところが、望まれて敷設され営業されてきた鉄道路線も、様々な事情により使用されなくなって廃止を余儀なくされる箇所も随所に見られるようになってきた。鉄道が支えてきた経済社会生活の変遷、モータリゼーションなどにより、逆に鉄道が不要になったり、運営効率が悪くなってくるのは当然でしょう。
 廃線に到った要因には、利用減少による不効率、経営破綻、路線改良付け替え、災害や事故などがあります。また、廃線となった敷地、駅、隧道、橋梁など、遊歩道や道路、自転車道、宅地などに転用されたものも多いのですが、そのまま放置されるケースも多い。昨今は、こうした廃線跡が産業史・技術史の遺物・産業遺産、近代化遺産として研究対象になるとともに、鉄道ファンたちの注目を集めています。
 特に1995年頃から書籍で取り上げられてからは、廃線跡を訪ねて歩くファンが急増して、ホームページ、ブログも華やかさを見せています。
 兵庫県内では、神戸・阪神地域、姫路方面への瀬戸内海沿岸、内陸への連絡線など、官民合わせて多くの鉄道路線が走っています。それだけに、廃線となった路線も各地に散見されます。

線路跡に建設されてしまったマンション(岩屋)

線路跡の公園化計画(岩屋。現在は完成済み)

臨港線の説明モニュメント
(岩屋。現在は設置済み)

線路跡の公園
(岩屋。現在は完成済み)
 しかしながら、都会にあっては跡地の転用が進んでその痕跡すら窺えない箇所が多いのですが、撤去費用の高騰化などで放置されている箇所もあります。現在、廃線跡を辿れるもの、遺物が僅かに残存している箇所など必見のポイントに多くのファンが探訪しています。
 実際に廃線跡を辿って行くと、轟音を響かせて往来していた旧日の光景が思い起こされ、現在の寂れた印象を拭えない場所に身を置いていることへの違和感、隔日感が何故か懐かしく思えてきます。
●県内随一の鉄道廃線散策ルート「国鉄福知山線・武田尾〜生瀬」
 特に必見のポイントは、何と言っても「国鉄福知山線」の武田尾〜生瀬間を付け替えた際に廃線となったところが県内随一です。大阪と舞鶴を結ぶ阪鶴鉄道によって1899年(明治32年)に開通、国鉄になった(1907年、明治40年)が単線非電化路線でした。この区間を複線電化されるに伴って路線は付け替えられて廃線となりました(1986年11月)。
 現在では、この廃止された路線は、多くの廃線マニアたち、春の桜や秋の紅葉を楽しむハイカーや家族連れで常時賑わっています。鉄道遺産が多く現存して、楽しめるところです。ただ、廃線であるため、多くの人たちが利用されることを想定されていないため、安全確保は利用者にとって不可欠であることは言うまでもありませんね。
 また、武田尾駅から北へ延びる廃線部分の道場〜武田尾間は、通行が遮断されているところもあり、通り抜けることはできません。一部は工事用に改修された部分もありますが、一般的には無理と思われます。

JRの「武田尾駅」。現在の本線は、左の山のトンネルから武庫川を渡り、対岸のトンネル(右)内に駅が造られている。

枕木が全線残る線路跡。毎年、桜と紅葉の時期には家族連れやハイカーたちで溢れる。

線路沿いの武庫川の武田尾渓谷は素晴らしい。昔、列車のデッキにぶら下がって通過した記憶も。

線路跡散策路には、JR西日本の危険告知とトラブル自己責任の警告看板。

多く残っているトンネル。照明はないので、懐中電灯は必携品。

廃線跡は、枕木の埋まり残りの元単線の道やトンネル、小さい橋、武庫川を渡る鉄橋など、周りの紅葉(桜)は美しい。

橋梁はご覧のように歩行禁止。すぐ側に、ハイカー向け(?)の歩道橋が通っている。

橋梁の上は歩行禁止であるが、昔のまま残る。本当は歩いてみたいが、危険。

JR福知山線の武田尾駅前にある由緒ある「武田尾温泉」。
●神戸の市街地を走っていた「国鉄鷹取駅南専用線」の廃線跡を辿る
 福知山線のようにしっかりと遺跡を楽しめる廃線があるかと思うと、身近に走っていた割に、現在その痕跡すら窺うことが難しい廃線もあります。それらのうち一つ、ここを紹介します。
 いま私たちが放送を行っているFMわいわい局の最寄りのJR鷹取駅から、昔、臨海部の石油会社へ専用線が敷かれ、蒸気機関車も走っていました。その記念に、駅の南に蒸気機関車の先頭部のモニュメントがあります。専用線は、JR鷹取駅から臨海部の昭和シェル石油事業所とJX日鉱日石エネルギー神戸油槽所(元、三菱石油)まで行っていました。
  線路ルートは、鷹取駅の西の高架線の土台から見てわかるように、そこから分かれて、駅西の曲がったマンションや自転車置場を通り、駅前広場横のグルッと東向きから南向きへ円を描いて曲がります。今道路もそうなっています。その前の料理屋さんの西隣のマンションのところを曲がりながら南へ進みます。このマンションもよく見るとちょっと曲がっています。その道を行くと、FM局北側の「大国公園」から西に向かう道と交差するところがありますが、その交差点が若干盛り上がっています。それは、当時あった踏切の跡です。
  その道を南へ県の神戸県民局西神戸庁舎の東横の駐車場跡(マンション建設予定と聞く)を行き、今は焼肉屋さんに突き当たりますが、そのまま国道2号線の横断歩道の所を通って、南側のコンビニ店のところ、そして、その南のガレージと喫茶店のところで、2方向、2つの石油会社へ分岐します。今は植え込みや遊歩道にもなっています。
東の方の分岐線は、昭和シェル石油です。会社入り口の西側のところに防潮扉跡があり、それが線路のなごりです。西の方の分岐線は、JX日鉱日石エネルギー神戸油槽所(元、三菱石油)に進入して行きます。
 昔、近所に住んでいた子どもたちは、高架に戻る機関車が急勾配で車輪が空回りをして登れない時に、機関士さんから缶詰の空き缶に一杯入った砂を渡されて、線路上に撒いて行く手伝いをしていたそうです(昭和25年前後)。
  しかし、国鉄は、1982年(昭和57年)に、貨物と専用線の運用を廃止しました。貨物は直ぐ再開されましたが、30年前、専用線はその後直ちに撤去、売却されました。現在、線路跡は、マンション、駐車場、店舗住宅、道路、遊歩道、工場になっています。
  神戸市内には、鉄道、電車の廃線跡が次々と転用されて、マンションや公園、店舗住宅になっていますが、それでも、どこかその痕跡は伺えるものが残されていて、郷土史ファンや鉄道マニア、中には廃線マニアが多くいらっしゃって、探索されています。しかし、ここ、鷹取駅南専用線では、その面影はありません。残念ですが。(2013年4月)
※FMわいわい番組「アフタヌーンねね」で放送解説(2013年3月)

JR鷹取駅西から高架から専用線が分かれて降りてくる、その跡。

高架より降りた線路が東から南に方向を変える、その地点。左の駐輪場が線路高架跡。

曲りながら南下する線路跡に建つマンション、少し湾曲している。

マンション南側の交差点は、一段と盛り上る。踏切の跡。

南下する線路跡。今は細長い駐車場の用地。

駐車場用地には鉄道線路用のバラス(砕石)が残る。

南下して国道2号線を渡る。横断歩道が丁度線路跡。

国道を渡り、直後に2方向へ分岐する。白い建物辺り。

左に向う線路跡に整備されている遊歩道。

左向線路は、昭和シェル石油の事業所に到着する。中央の建物前の木のところが線路用防波堤跡。

先の分岐点を右に向う道は普通の道路だった。

右向道は、ここJX日鉱日石エネルギー神戸油槽所(元、三菱石油)に引き込まれていた。
●県内各地域に残る鉄道廃線
 各地域に残された代表的な廃線を紹介します。是非、一度は訪れてはいかがでしょうか。ただし、ふらっと出かけただけで見つけることはなかなか難しいと思います。事前に資料をよくチェックし、地図で確実にポイントを押さえながら辿って行きましょう。
 なお、詳しくは、郷土史研究にかかる参考データ集「鉄道廃線一覧表(兵庫県内)」をご覧下さい。
※掲載の廃線写真は逐次追加の予定です。
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地  域
各地域における鉄道廃線
神戸市電、国鉄神戸港臨港線、国鉄兵庫港臨港線、山陽電鉄西代・兵庫間、阪急電鉄上筒井支線、阪神電鉄三宮・瀧道間、阪神電鉄国道線、国鉄有馬線(有馬鉄道)、鷹取駅南専用線、川崎重工業兵庫工場専用線、神戸電鉄(菊水山〜鈴蘭台、有馬線一部)
阪神電鉄国道線、阪神電鉄甲子園線、阪神電鉄武庫川線、阪神電鉄尼崎海岸線、国鉄福知山線旧線、国鉄尼崎港線、国鉄尼崎市場線、能勢電鉄、国鉄有馬線、伊丹軍用側線、武庫川線軍用鉄道
山陽電鉄明石線、別府鉄道野口線、別府鉄道土山線、国鉄高砂線、国鉄鍛冶屋線、ニッケ専用線、神野弾薬庫軍用引込線、三木鉄道
国鉄飾磨線(播但線)、国鉄姫路市場線、姫路モノレール、播電鉄道(龍野電気鉄道)、北沢産業網干鉄道(元、東京芝浦電気引込線)、赤穂鉄道、三菱電機専用線、波賀森林鉄道、国鉄山陽本線旧船坂トンネル、新日鉄広畑製鉄所専用線
出石鉄道、明延神新軌道、明神鉄道(一円電車)、国鉄山陰本線旧トンネル、生野鉱山鉄道、旧余部橋梁
篠山鉄道、国鉄篠山線
淡路鉄道

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 郷土史研究にかかる参考データ集
(5)鉄道廃線一覧表(兵庫県内)

    ※掲載の廃線写真は逐次追加の予定です。

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