ツーリズム関連の資料・データ集 (2)
 兵庫県の観光GDPの推計(平成21年度)
兵庫県の観光GDPの推計(平成21年度)
 地域振興や地域再生等の取組みの中で観光が果たす役割は大きく、その効果の定量的な把握が求められるものの、総合的な経済指標を用いた把握はなされていません。現在、観光分野の経済統計に関する国際基準(Tourism Satellite Account :TSA)に沿った指標開発を行うため、観光庁が山口大学等と「観光経済分析プロジェクト」(平成21年度〜)で、全国レベルの経済指標「観光GDP」を検討していますが、府県レベルや地域レベルでの指標開発の試みはほとんど見あたりません。
 今回、観光経済分析プロジェクトを参考に、兵庫県が、独自に県版観光GDPを試算しました。この推計結果は、今後、ブラッシュアップを図っていかれるそうです。(2011年3月)(兵庫県企画県民部政策室統計課、発表
1 兵庫県版「観光GDP」の意義
・様々な観光の企画・実施が地域にもたらす付加価値を定量的に把握することができ、観光動向の時系列変化をみることができる。
・全県版の指標から地域版、観光地版とブレークダウンすることで、今後、県民局単位などの地域別指標の開発や、観光地の規模別、種類別の分析につながる。
・TSAに沿って観光庁が作成する全国版の観光GDP等の指標と比較し、兵庫県の観光産業の現況を把握するための資料となる。
・但し、データ等の制約もあり、これから更なる精緻化が必要。
<試算に当たっての制約>
・地域別項目別観光消費単価など一次統計が不足している。
・推計値として公表するには推計誤差が比較的大きいなどの問題が残っており、データの精度向上のためには追加的調査や推計方法の検討が必要である。
2 観光GDP試算結果
1)平成21年度の概要(表1)
 ア 実質兵庫県内観光GDP 7,581億円
   前年度比0.4%増、実質県内総生産比3.8%
 イ 観光消費額(名目)(直接交果) 1兆2,947億円
   名目兵庫県内観光GDP 7,194億円 前年度比▲1.2%
    項目別構成比:飲食費その他(構成比32.1%)、交通費(同27.0%)、買物費(同15.7%)
    項目別寄与度:宿泊費(寄与度0.59%)、交通費(同0.57%)がプラス。
           飲食費その他(同▲1.53%)、買物費(同▲0.74%)などがマイナス。
    表1 兵庫県内観光消費総生産統計表(試算値)                        (単位:億円、%)
年度
2000(H12)
2005(H17)
2006(H18)
2007(H19)
2008(H20)
2009(H21)
県内観光消費額(名目)
12,877
12,108
12,599
12,977
12,886
12,947
  うち旅行中観光消費額(名目)
11,069
10,402
10,705
11,020
10,946
10,989
県内観光消費総生産(名目)
7,594
6,893
7,136
7,351
7,280
7,194

 1 旅行会社収入

5
5
5
5
5
5
 2 交通費
2,206
2,013
1,954
1,958
1,899
1,940
 3 宿泊費
609
579
612
766
703
746
 4 宿泊費(寮保養所差額帰属計算)
27
11
18
16
16
11
 5 飲食費その他
2,472
2,232
2,352
2,384
2,421
2,310
 6 買物代(商業マージン額)
1,258
1,137
1,168
1,159
1,183
1,130
 7 旅行前後消費額
1,017
916
1,027
1,064
1,052
1,052
   対前年度比(%)
△0.5
△3.4
3.5
3.0
△1.0
△1.2
県内総生産(名目)
203,398
190,526
195,454
192,330
190,966
175,957
   対前年度比(%)
0.3
0.2
2.0
△1.6
△0.7
△7.9
   県内総生産比(%)
3.7
3.6
3.7
3.8
3.8
4.1
観光消費総生産(実質。2000年固定基準)
7,594
7,173
7,425
7,642
7,552
7,581
   対前年度比(%)   
0.0
△2.6
3.5
2.9
△1.2
0.4
民間最終消費支出デフレーター
100.0
96.1
96.1
96.2
96.4
94.9
県内総生産(実質)
203,582
208,943
215,456
213,934
213,584
199,215
   対前年度比(%)
0.3
0.2
2.6
△1.6
△0.7
△7.9
   県内総生産比(%)
3.7
3.4
3.4
3.6
3.5

3.8

    (資料)兵庫県統計課「兵庫県民経済計算」、兵庫県観光交流課|兵庫県観光動態調査報告」
2)観光消費よる経済波及効果(表2)
  平成21年度観光消費による経済波及効果
   ・生産誘発額   1兆9,552億円
   ・付加価値誘発額 1兆1,526億円(名目県内総生産比6.6%)
   ※経済波及効果:観光消費額(直接効果)のほか間接効果である原材料波及効果と家計迂回効果からなり、産業連関分析により推計。
    表2 県内観光消費の経済波及効果(試算値)                       (単位:億円、人)
年度
2000(H12)
2005(H17)
2006(H18)
2007(H19)
2008(H20)

2009(H21)

1 最終需要額(直接効果)
12,877
12,108
12,599
12,977
12,880
12,947
2 生産誘発額
20,083
18,333
19,002
19,508
19,431
19552
3 付加価値誘発額
11,845
10,822
11,207
11,495
11,455
11,526
   名目GDP比(%)
5.8
5.7
5.7
6.0
6.0
6.6
4 就業者誘発数
204,432
186,115
193,708
199,217
198,696
198,745
使用産業連関表(年度)
2000(H12)
2005(H17)
2005(H17)
2005(H17)
2005(H17)
2005(H17)
     (資料)兵庫県統計課「兵庫県産業連関表」
3 観光GDP試算方法
1)観光及び観光関連産業の概念定義
 ア 観光:余暇、ビジネス、その他の目的のため、日常生活圏を離れ、継続して1年を超えない期間の旅行をし、また滞在する人々の諸活動
 イ 観光関連産業:運輸・通信業、商業(商業マージン)、個人サービス業(飲食・宿泊業など)のうち観光にかかる部門
2)推計対象
 ア 旅行中消費額:宿泊旅行、日帰り旅行、別荘・保養所の消費額
 イ 旅行前後消費額:旅行用品の購入、写真プリント等
 ウ 間接消費額:産業連関分析により経済波及効果を推計
   (内訳)原材料波及効果(1次効果):宿泊施設の食材(農業)の調達 等
       家計迂回効果(2次効果):所得増による家計消費増が新たな売上増
3)推計方法
 ・観光消費額=観光客数(A)×観光消費単価(B)
   (内訳)交通費、宿泊費、飲食費(食事,飲食,飲酒)、土産代、施設入場料等
 ・観光産業付加価値額=観光消費額×付加価値比率(C)
   (用いたデータの出典)
    A:兵庫県観光交流課「兵庫県観光客動態調査」
    B:(社)日本観光協会「観光の実態と志向」
    C:兵庫県統計課「兵庫県民経済計算」
(参考)兵庫県観光GDP積算方法
1 観光消費額=観光消費単価(A)×観光客数(B)十旅行会社収入額(C)
 項目別にデータを用いて推計値を積み上げた
 (内訳)
 ・交通費(JR・私鉄・路線バス、貸し切りバス、その他)の平均単価により推計。
 ・宿泊費:施設別(ホテル、旅館、民宿・ペンション、公的宿泊施設、ユースホステル、寮・保養所、その他)に推計。
        ※寮・保養所については、事業主が負担している福利厚生費相当分の単価差額(ホテルー寮保養所)を補正。
 ・土産代・飲食費:日帰り客、宿泊客別に推計。
 (計算例)平成21年度 ホテル宿泊消費額=11,243円×601.4万人(補正後)=676億円

  A 観光消費単価(参考:平成21年度)
    ・宿泊:ホテル(11,243円)、旅館(13,147円)、民宿.ペンション(9,408円)、公的宿泊施設(10,547円)、寮・保養所(6,014円)、
         その他(3,036円)
    ・交通費(5,483円)
    ・土産・飲食費:日帰り客(5,360円)、宿泊客(13,510円)
         ※出所:(社)日本観光協会「観光の実態と志向」(各データは全国平均値)
  B 観光客数(観光客入込数)
    ・日帰り客:1人当たり訪問場所(平成21年度1.46ヵ所)により補正。
    ・宿泊客:1人1回当たり宿泊日数(1.54泊)により補正。
         ※出所:兵庫県観光交流課「兵庫県観光客動態調査」
  C 旅行会社収入額
    ・旅行・運輸付帯サービス生産額×観光消費産出額比
         ※出所:兵庫県統計課「兵庫県民経済計算」(運輸付帯サービス生産額を全産業に占める観光関連産業の比率で割り戻した。)
2 観光産業付加価値額=観光消費額×付加価値比率(D)
  D 付加価値率
    (売上に当たる観光消費額から経費に当たる中間投入額を差し引いたもの。)
   推計項目別に「兵庫県民経済計算」の付加価値率(全県平均)を準用。
    ・旅行会社収入(その他の運輸業)、交通費(運輸業)、宿泊費(旅館業)
    ・飲食費その他(個人サービス業)、買物代(商業マージン額)(小売業)
    ・旅行前後消費額(個人サービス業)
         ※出所:兵庫県統計課「兵庫県民経済計算」(データ単位は兵庫県における平均付加価値率を使用)

(兵庫県企画県民部政策室統計課が作成、兵庫県産業労働部観光国際局観光交流課から提供いただきました。)

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