最大のツーリズム資源「世界遺産」登録をめざして〜兵庫県・日本国内〜
 (ツーリズム政策と提言 2)
最大のツーリズム資源「世界遺産」登録をめざして〜兵庫県・日本国内〜 

兵庫県内で唯一の世界文化遺産「姫路城」
 今、世界遺産が最大のツーリズム資源として注目を集めています。世界遺産に登録されるということは、人類の後世に継承すべき遺産として、保護と活用を将来にわたって約束することになるのです。全世界の人々にあまねく知られることとなり、登録、資源整備、受け入れ体制整備、ひいては世界遺産を中心としたまちづくりを進める中で、地域の魅力が育まれ、観光を中心とした交流人口の増加につながり、地域が活性化してゆくのです。
 最近その中でも、急激にその姿を消しつつある 産業遺産・近代化遺産が新しい評価分野として取り上げられはじめました。世界遺産への登録が審議審査される中で、その重要な要素となっています。
  世界遺産には、3つの種類があります。
(1)文化遺産:顕著な普遍的価値を持っている建築物、遺跡など。
(2)自然遺産:顕著な普遍的価値を持つ地形や生物、景観などを持つ地域。
(3)複合遺産:文化と自然の両方について、顕著な普遍的価値を兼ね備えているもの。
 現在( 2016年6月)、文化遺産802件、自然遺産197件、複合遺産32件の合計1,031件が登録されて、遂に1000件を超えました。
 それでは、世界遺産への登録をめざす兵庫県内、日本国内の最近の動きを概観してみましょう。
1.神戸・兵庫においても世界遺産と誇りたいもの
 現在日本国内では、下記のように、本当に沢山の提案が行われていますが、兵庫県内は1件もありません。(世界遺産の姫路城はありますが) もちろん、神戸・兵庫においても、「世界遺産」と誇りたいものは沢山あります。
 神戸では、旧居留地、灘五郷、神戸港、造船、それ以外では源平物語や大都会に珍しい六甲山。兵庫県内では、生野、明延、多田の鉱山関係、製塩、鉄鋼、繊維、産業以外では鳴門の渦潮や、瀬戸内海の多島海景観と周辺文化遺産、播州赤穂忠臣蔵や播磨国風土記などなど。
 兵庫県内で一番世界遺産に近いと思われていた生野鉱山ですが、これだけ素晴しい遺産が引き継がれているのに、なぜ世界遺産になっていないのでしょう。
 生野鉱山はつい最近まで稼動していた近代化遺産が中心で国宝や重要文化財が少なく、しかも登録を目指す態勢づくりが後手を踏んだこともあって、残念ながら含まれていません。しかしながら、受入れ施設的には既に世界遺産クラスの整備が進められつつあり、「銀の馬車道」や、明延鉱山・神子畑鉱山との連携による「鉱石の道」などの総合的な取組みなど地道な活動が続けられています。また、大学等を中心とした神戸港をテーマとした世界遺産をめざす動きも出てきています。
 そして、世界遺産登録をめざすに当たっては、世界遺産委員会が定めるところの世界遺産登録への評価基準に加え、新しい取組としてのグローバル・ストラテジー(後段、参照)、最近の審査経過等から見て、各提案が単独で主張するよりも、他の提案等との連携を図り、特に、関連した遺産群を集約して共通のテーマを設定し、ストーリーを組み立てて世界遺産登録への評価基準に如何にマッチングさせるかが重要になっています。基本的には、国宝や重要文化財の存在が根本にあります。世界遺産を目指すには、文化財の抽出と史料整備、保存伝承への確たる取組み、歴史的重要性の主張確立など、まずは登録文化財から重要文化財へ、また国宝へ、資産の格上げをブラッシュ・アップする地道な対応が優先されます。各地域、各方面での一層の体制整備が望まれます。
 また、神戸・兵庫の資源を組み入れた世界遺産登録への提案を考える上で、例えば次のようなグルーピング、テーマなどが面白いのではないでしょうか。それぞれ有望なテーマに育て、纏め上げたいものです。まずは、「日本遺産」を目指して体制整備を図るのが近道と思われます。
神戸・兵庫に係る世界遺産への提案候補
関係都道府県
(1)瀬戸内海と紀伊水道を繋ぐ海域に発生する珍しい自然現象「鳴門の渦潮」 兵庫県、徳島県
(2)近代まで日本経済を支えてきた、生野鉱山及び鉱山街と、明延鉱山・神子畑鉱山との連携による「鉱石の道」、「銀の馬車道」、飾磨港など 兵庫県
(3)日本の開国躍進を支えた、「神戸旧居留地と神戸港」、鉄鋼造船産業、商社、異人館、宗教・教育施設、市民憩いの場となっている「都市隣接の六甲山」など 兵庫県
(4)沿岸景観として稀有な「瀬戸内海の多島海景観と周辺の地域」の海を生かした発展の歴史文化など 兵庫県など瀬戸内海沿岸他府県
(5)日本の武士道など精神文化を表す、浅野家の播州赤穂、江戸(東京)、京都山科、吉良家の地元と連携した「忠臣蔵ゆかりの場所」 兵庫県、東京都、愛知県、京都府
【兵庫県における、最近の世界遺産登録申請への動き】
(1)2012年12月に、「銀の馬車道」(兵庫県)ネットワーク活動が、日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」に選ばれました。未来遺産とは、日本の協会が独自に選定顕彰するものですが、100年後の子どもたちに残したい産業遺構、自然、文化の保全、普及を促進を図るプロジェクトとしてその重要性が認められます。これにより、次のステップの世界文化遺産の国内暫定リスト入りへ、大きく前進しなければなりません。
(2)「鳴門海峡の渦潮」(兵庫県、徳島県)については、1998年3月に兵庫・徳島の住民たちが「世界の自然遺産にする会」を発足させていました。2012年春に、松浦元ユネスコ事務局長を招いてフォーラムを開催、10月には淡路島の3市や観光協会などが「“鳴門のうず潮”世界遺産登録推進協議会」を発足させ、2013年4月には世界遺産登録を目指して、兵庫県の南あわじ市が役場内に推進室を設置し、富士山の登録に刺激を受けて、やっと官民各界を挙げて気運が高まっています。今後、国民の熱意、資源の保存と活用、環境保全、資料等の整備など地元の推進体制の強化を図り、文化庁に「国内暫定リスト」掲載を要請しましょう。
(3)2013年9月に、南あわじ市と鳴門市(徳島県)が「“鳴門海峡の渦潮世界遺産化”推進交流会」を発足させ第1回会合を開き、共通のロゴマーク制定や、ポスターやイベントなど、共同歩調による世界遺産登録を目指すこととなった。
(4)兵庫県と徳島県の行政や議員、民間団体などが2014年12月18日に、共同で登録に向けた組織「兵庫・徳島“鳴門の渦”世界遺産登録推進協議会」を発足させた。 近く、国内暫定リスト入りを目指し、自然遺産か文化遺産か双方の可能性を、渦潮の自然美や文化的な価値を見極める調査に着手する見込みです。
(5)同上の推進協議会は2015年2月17日の設立1周年総会で、兵庫・徳島両県関係者130人が集まり、両県の担当者が研究成果を発表、また、昨年登録の明治日本の産業革命遺産の政府担当官の講演を聞き入った。
(6)「渦潮世界遺産推進フォーラム」が2016年7月に推進協議会などが集まり、有識者から調査報告・講演など開催して学術的研究成果を発表し、世界遺産への選考過程で問われる「普遍的価値」の追求を進めた。
※(左および下)鳴門海峡の渦潮世界遺産化”推進交流会のパンフレットより
2.国内の世界遺産
 現在、日本国内の世界遺産は、全20件(うち自然遺産4件・文化遺産16件)です。そのうち、産業遺産であるのは、文化遺産のうち広島の原爆ドーム(これは少し意味合いが違いますが、元の広島県物産陳列館)と石見銀山の2箇所です。(2016年7月)
【日本の世界遺産に登録されたもの(2016年7月)】
遺産の種類
名     称
所在地
登録年月
自然遺産
白神山地 青森県、秋田県 1993年12月
屋久島 鹿児島県 1993年12月
知床 北海道 2005年7月
小笠原諸島 東京都 2011年7月
文化遺産
法隆寺地域の仏教建造物 奈良県 1993年12月
姫路城 兵庫県 1993年12月
古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市) 京都府、滋賀県 1994年12月
白川郷・五箇山の合掌造り集落 岐阜県、富山県 1995年12月
原爆ドーム 広島県 1996年12月
厳島神社 広島県 1996年12月
古都奈良の文化財(京都市、宇治市、大津市) 奈良県 1998年12月
日光の社寺 栃木県 1999年12月
琉球王国のグスク及び関連遺産群 沖縄県 2000年12月
紀伊山地の霊場と参詣道 三重県、奈良県、和歌山県 2004年7月
石見銀山遺跡とその文化的景観 島根県 2007年7月
平泉-仏国土を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群 岩手県 2011年7月
富士山−信仰の対象と芸術の源泉 山梨県、静岡県 2013年7月
富岡製糸場と絹産業遺産群  群馬県 2014年7月
明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域 福岡県、長崎県、佐賀県、熊本県、鹿児島県、山口県、静岡県、岩手県 2015年7月
国立西洋美術館  東京都 2016年7月
【最近の世界遺産登録申請の動き】  
(1) ユネスコが文化遺産登録申請の制限へ
 ユネスコは、世界遺産特に文化遺産の飽和状態から2013年登録分から、各国からの申請を現在の年間2件は変らないが、うち文化遺産は1件以下と制限することを決めました。
 ということは、既に申請した案件についても、審査の段階で、文化遺産については厳格、制約的な判断が加わることが予想されます。今後、申請案件の一層のブラシュアップが望まれます。
(2)2011年6月に、「小笠原諸島(東京都)」と「平泉の文化遺産(岩手県)」ユネスコ世界遺産委員会で、それぞれ自然遺産、文化遺産に正式登録(2011年7月)が認められました。日本政府がフランスと共同申請していた「国立西洋美術館本館(東京都)」は、残念なことですが、事前の審査機関、ユネスコの諮問機関であるICOMOS(国際記念物遺跡会議)にて2011年5月、「不登録」が勧告されてしまい、登録はされませんでした。
(3)日本政府(文化庁)は、ユネスコの文化遺産申請制限の決定を受けて「富士山」と「鎌倉」の2件(ともに文化遺産)について、駆け込み申請。富士山は、自然遺産としての登録は困難と見て、関連遺産を組み込んで文化遺産として申請しました。「富岡製糸場」もその翌年に登録申請しました。
  @文化遺産「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」(山梨県、静岡県)を2012年1月に申請(推薦)。
  A文化遺産「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)を2012年1月に申請(推薦)。
  B文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)を2013年1月に申請(推薦)。

(4)2013年4月、審査機関ICOMOSは、「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」については、日本の国家的象徴であり、宗教的・芸術的伝統の融合した遺産群(三保松原を除外する条件で)との評価を受け、6月の世界遺産委員会へ登録勧告されました。もう1件の「武家の古都・鎌倉」については、顕著な普遍的価値証明の不十分、武家関連の遺産の少なさ、都市化の進展などの理由で、不登録が勧告されました。ということは、不登録勧告で本委員会で審議され決定されると、この案件の将来の申請も不可となってしまいますので、本委員会への申請を取り下げ、新ためて内容を強化して申請し直すこととしました。
(5)「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」(山梨県、静岡県)が、2013年6月の本委員会で、三保の松原も含めた形での登録が復活承認されました。
 この逆転登録には、文化庁の近藤誠一長官の熱心な巻き返し・根回しなどのロビー活動が奏効したと伝わっていますが、長官がユネスコ大使を勤めておられた2007年の時にも、「石見銀山遺跡と文化的景観」(島根県)が「不登録勧告」をICOMOSから受けていたのを、世界的に稀有な環境回復型の鉱山開発の例を未来へのモデルとしてアッピールし、これも逆転で登録に漕ぎ付けたという辣腕外交官でした。松浦元ユネスコ事務局長とともに、近藤長官は、日本の世界遺産にとってかけがえのない存在であります。

(6)文化庁は、2013年度推薦候補(2015年登録目指す)に、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)を検討。「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(青森県など)と、「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪府)は、準備不足で見送られました。
(7)政府は、稼動中の施設を含む「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(福岡県など8県)をユネスコの世界文化遺産に推薦することを決め、2014年1月に推薦書を提出、2015年の世界遺産委員会での登録を目指しています。しかし、遺産の目玉である端島炭鉱(通称、軍艦島)の高層建物群の一部に、保存上の問題点も提起(長崎市の専門委員会)されています。
(8)西欧の技術を導入して、国内で養蚕・製糸技術を改良し、世界の絹産業の発展と消費の大衆化をもたらした普遍的な価値を元に推薦していた文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県) については、2014年4月、ユネスコの諮問機関ICOMOSが「登録」の勧告を行いました。構成資産としては、富岡製糸場と養蚕関連施設(田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴)です。やはり、地元が誇る産業遺産の保存・活用に、中心となった企業や地域の市民・行政等の熱意と管理体制がキーポイントとして評価されたのです。
 そして、6月21日、カタールで開催された世界遺産委員会で、登録が決定されました。これで、日本の世界文化遺産は14、自然遺産も加えて18になりました。
(9)2014年9月、政府は2016年の登録候補として「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)を推薦することを正式決定し、2015年2月1日までにユネスコに推薦書を提出する。13の文化財(日野江城跡、原城跡、平戸島の聖地と集落、天草の崎津集落(熊本)、出津教会堂と関連施設、大浦天主堂と関連施設、旧五輪教会堂、旧野首教会堂と関連施設、黒島天主堂、頭ヶ島天主堂、大野教会堂、田平天主堂、江上天主堂)で構成する。

(10)2011年にICMOSから「不登録」勧告で辞退した「国立西洋美術館本館」(東京都)については、フランスなど7カ国が2016年を目指して「ル・コルビュジェの建築作品」(7カ国に存在)としてフランスの推薦枠内で2015年2月正式共同推薦した。
(11)文化庁主導で申請していた「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(福岡県など8県)は、政府が直接主導して「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」(福岡県など8県)に変更し、予定されていた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)を翌年に回して、推薦し、関係国にアピール活動を展開してきた。ICOMOS(国際記念物遺跡会議)は2015年5月、登録を勧告した。その後、7月のドイツのボンで開催される世界遺産委員会で、日本国内で全部で19番目、15番目の文化遺産として登録された。
(12)文化庁の文化審議会は、「『神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)を2017年の登録を目指して、ユネスコに推薦書を提出する候補とし、推薦した。同時に審議された「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」「百舌鳥(もず)・古市古墳群」の3件については、さらなる説明と保全策などが懸案として推薦対象から外れた。
(13)2016年の登録を目指していた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)については、イコモスは2015年秋に現地調査を実施したが、構成する資産や歴史的価値の説明に不整理なところがあるとして登録が認められない可能性があるとして、修正を示唆した。しかし政府(文化庁)は、大幅な見直しが必要で審査に間に合わないとして、一旦推薦を取り下げ、2018年意向登録を目指すこととした。
(14)2015年にフランス等7カ国で申請していた「ル・コルビュジエの建築作品」17施設を世界文化遺産に登録するよう、2016年5月ICOMOS(国連教育科学文化機関ユネスコの諮問機関)が勧告した。これには、日本の東京・上野公園にある「国立西洋時術館」が含まれています。2016年7月、トルコのイスタンブールで開催されていたユネスコ世界遺産委員会で、トルコ軍一部のクーデター騒動があり、延長された審議の結果、登録が正式決定されました。他国にまたがる遺産群としては初めてのことです。
 神戸ゆかりの松方コレクションが戦後フランスから返還された時、元オーナーの川崎造船所(現川崎重工業)の松方幸次郎が考えていたこれらを収蔵した美術館を神戸に造る計画が、フランス側の要求などもあって東京の上野公園内にて建設されたもので、地元神戸としては残念至極(戦前戦中の日本の文化発信拠点は東京唯一とする政策があったことの延長?)のものでした。いまなら、きっと神戸に建設されていたでしょう。
(15)2年前に一度ユネスコに推薦して、結果的に取り下げた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)は、日本の特徴である禁教期以前のキリシタン大名の城跡などを除外して、江戸時代を中心としたキリスト教禁制とその後の信仰復活の歴史にしぼるなど内容を精査してあらためて推薦することなった。2016年に推薦して2017年にイコモスの現地調査を経て、2018年の世界文化遺産登録を目指すこととなった。
 なお、同じく国内の文化審議会にて検討されていた他の3件、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道・青森県・岩手県・秋田県)や「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」(新潟県)、「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)は一定の評価は受けたが、推薦は見送られた。
 また、「紀伊山地の霊場と参詣道」(三重県、奈良県、和歌山県)追加登録の審議は、10月パリでの臨時の世界遺産委員会にて問題なく承認される見込み。(2016年7月)
(16)日本政府は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島県、沖縄県)を自然遺産として、また、内容を見直し再申請するとした「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県)を文化遺産として、2017年1月、ユネスコに正式推薦することを決めた。2018年夏の世界遺産委員会で審査される予定。(2017年1月) 
(17)ユネスコ諮問機関イコモスは、2017年5月、「『神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)を登録勧告した。7月のユネスコ世界遺産委員会で決定される見込みとなった。しかし、全遺産8件のうち4件(新原・奴山古墳群、宗像大社仲津宮遥拝所、同中津宮、同辺津宮)の除外勧告もあった。日本政府は、委員会までに、沖ノ島に絞られた登録を認めるか、新たな説得材料を後世して巻き返すか、判断が難しいところ。また、沖ノ島だけだと、神宿る島として一般開放が難しい面もあって、保存問題が最大懸案となる。(2017年5月)
 世界遺産に登録されると、観光客の爆発的な増加に併せて、特に自然遺産については、その保護強化をはかる必要に迫られてくる。登録されても自然環境や遺産そのものが損なわれることになっては意味がなくなります。基本は、貴重な自然遺産を守ることにあり、世界的な傾向として、環境保全の徹底や立ち入り規制など、観光とは相反する措置が考えられなければならない事態が現出し出しています。
3.世界遺産登録をめざす国内暫定リスト

 ユネスコ、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)における世界遺産登録への審査のため、各国(もちろん日本も)は、その審査対象としてもらう案件を「暫定リスト」に掲載しています。日本政府公認の世界遺産候補です。つい最近(平成18年度、19年度)まで、「暫定リスト」に掲載するための提案を地方公共団体から公募していました。国内で、まず「暫定リスト」に掲載されるための厳しい審査があるのです。これらの関門をパスして、2013年7月現在、「暫定リスト」に掲載されている提案は13件(文化遺産12件)あります。

【日本の暫定リストに掲載された提案(2017年1月現在)】
遺産の種類
名     称
所在地
掲載年月
文化遺産
武家の古都・鎌倉 神奈川県 平成4年10月
文化遺産
彦根城 滋賀県 平成4年10月
文化遺産
飛鳥・藤原の宮とその関連遺産群 奈良県 平成19年1月
文化遺産
北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群 北海道、青森県、岩手県、秋田県 平成21年1月
文化遺産
宗像・沖ノ島と関連遺産群 福岡県 平成21年1月
文化遺産
金を中心とする佐渡鉱山の遺産群 新潟県 平成22年11月
文化遺産
百舌鳥(もず)・古市古墳群 大阪府 平成22年11月
文化遺産
平泉一仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(拡張申請) 岩手県 平成24年9月
文化遺産
紀伊山地の霊場と参詣道(追加申請) 三重県、奈良県、和歌山県  
文化遺産
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 長崎県、熊本県  
自然遺産
奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島 鹿児島県、沖縄県 平成28年2月
4.暫定リスト掲載をめざす諸提案
 現在、地方公共団体からの暫定リスト掲載申請はストップしています。平成18年度と19年度に応募した32件あったうち、それぞれが課題の解決に活動を活発化しております。 いま残っている候補の26件は次のとおりです。
【暫定リストに掲載されなかった既提案(候補)】
提案名
所在地
提案名
所在地
最上川の文化的景観〜舟運と水が育んだ農と祈り、豊饒な大地〜 山形県 近世高岡の文化遺産群 富山県
城下町金沢の文化遺産群と文化的景観 石川県 霊峰白山と山麓の文化的景観〜自然・生業・信仰〜 石川県、福井県、岐阜県
若狭の社寺建造物群と文化的景観〜神仏習合を基調とした中世景観〜 福井県 善光寺と門前町 長野県
松本城 長野県 妻籠宿・馬籠宿と中山道〜『夜明け前』の世界〜 長野県、岐阜県
飛騨高山の町並みと祭礼の場〜伝統的な町並みと屋台祭礼の文化的景観〜 岐阜県 三徳山〜信仰の山と文化的景観〜 鳥取県
宇佐・国東〜「神仏習合」の原風景〜 大分県 錦帯橋と岩国の町割 山口県
四国八十八箇所霊場と遍路道 徳島県、高知県、愛媛県、香川県    
竹富島・波照間島の文化的景観〜黒潮に育まれた亜熱帯海域の小島〜 沖縄県 (以下、19年度新規分)  
北海道東部の窪みで残る大規模竪穴住居跡群 北海道 松島〜貝塚群に見る縄文の原風景 宮城県
水戸藩の学問・教育遺産群 茨城県 足尾銅山〜日本の近代化・産業化と公害対策の起点〜 栃木県
足利学校と足利氏の遺産 栃木県 埼玉(さきたま)古墳群〜古代東アジア古墳文化の終着点〜 埼玉県
立山・黒部〜防災大国日本のモデル“信仰・砂防・発電”〜 富山県 日本製糸業近代化遺産〜日本の近代化をリードし、世界に羽ばたいた糸都岡谷の製糸遺産〜 長野県
天橋立〜日本の文化景観の原点〜 京都府 近世岡山の文化・土木遺産群〜岡山藩郡代津田永忠の事跡〜 岡山県
山口に花開いた大内文化の遺産〜京都文化と大陸文化の受容と融合による国際性豊から独自の文化〜 山口県 阿蘇〜火山との共生とその文化的景観〜 熊本県
※以上のリストは、文化庁の文化審議会資料を参照しました。
5.産業遺産・近代化遺産の保存と活用〜世界遺産登録をめざして
 古い遺産だから合格する訳でもありません。世界遺産はもうほぼ飽和状態だとの認識がありますが、石見銀山で示されたように、世界遺産に登録することが将来に向けて人類の生存・繁栄に強烈なアピールができれば道は残されていると思います。特に最近は近代化遺産に注目が集まっているように思います。
 ちなみに、ユネスコは、諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の当該候補に関する勧告にベースにして、世界遺産会議において評価を行いますが、その登録申請に対する決議には次の4段階があります。
(1)登録
(2)情報照会・・・(補足情報を推薦国が提出すれば最短で翌年の世界遺産委員会で登録に再挑戦できる。)
(3)登録延期・・・(推薦書を抜本的に改定した上で翌々年以降に再挑戦できる。)
(4)不登録

 2008年政府推薦の「平泉」は登録延期、2009年の「国立西洋美術館」は情報照会という結果でした。日本政府は後者は2010年に(結局、2011年にICOMOSより不登録の勧告となりました)、前者を2011年に再挑戦(結局、登録を勝ち得ました)しました。
 その他、有力候補の獲得には、文化庁や政府自らが動く道もあり、いずれ申請後不登録あるいは既存遺産見直しの結果に登録廃止になる遺産も出てきたり、暫定リスト掲載分が減少するなどの事情の変化で地方自治体からの申請が再開されることがあるかも知れません。
 現在、地方自治体からの提案申請の扉が一旦閉ざされていますが、石見銀山の逆転登録のポイントが現世や将来に通じる環境対策にあったことや、平泉の再チャレンジが功を奏したことなどを考えれば、遺産の存在意義・将来へのメッセージを包含する内容にて保存整備を図り、関係者連携体制の整備、遺産の掘り起こし再整備、ツーリズム資源としての活用へと地域を挙げて取り組む必要があります。
単なる地域おこしのためのグルーピングは無理が有り、遺産の評価とストーリー建て、同種の遺産群とのネットワークなどに的を絞る要が窺えます。
【産業遺産の保存と活用への提案】
 地域を支え、固有の特色を持った産業が遺したもの、「産業遺産」を保存し、後世に継承し、地域の魅力づくりや新たな産業活動など、特に「ツーリズム」分野に活用すること。
○「保存」への道
(1)本来用途で継続使用する。
(2)臨時的転用する(元に戻せる)。
(3)用途を改変して有効活用する。
○「産業ツーリズム」への脚光
(1)工場見学、企業活動視察。
(2)企業ミュージアム、記念館、産業博物館、伝統工芸伝承館、公害対策資料館など。
○「産業遺産」をツーリズム振興へ整備・活用  
(1)見学・視察に向けた保存用整備を行い、活用した地域整備や町づくりを目指す。
(2)公園としての周辺および環境の整備。
(3)資料館、記念館などセンター機能の整備。
(4)地域産業の発展史や環境問題、文化の保存・伝承などの社会勉強の場、地域学習の素材提供。産業遺産の果たした役割や将来の活用法等の研究活動など。
(5)関連する産業遺産のネットワーク化(ストーリー化)と、移動(交通)手段の整備。
(6)放置されたままの産業遺産の発見。
(7)産業遺産の保存・活用のための助成金等の法整備。土地・建物の公有化、企業メセナへの優遇税制、遺産活用ニュービジネス(記念館なども含む)への新産業支援。
(8)地域・関係各界を挙げた支援(ファン)体制。調査、資料収集、郷土史専門家やボランティアガイドの養成、勉強会・研究会・シンポジウムの開催、イベント開催、ツアープログラムの商品開発、案内看板や休憩所・宿泊所整備などツーリスト受け入れ態勢の整備、関連グッズ開発、専用のホームページ運営、ファンクラブの形成など。
○「ツーリズム振興」の観点からは、産業遺産のみならず、居宅等の生活文化遺産や往年の活動がしのばれる跡地などの近代化遺産や軍事遺産、また、もっと昔からの郷土史跡なども含めた「郷土史ツーリズム」や、現在の産業活動にも触れ得る「産業ツーリズム」との合体、連携が重要となってきます。
 例え、遺産と言えるほどに遺物が存在しなくても、また、取り組みの甲斐なく登録が見送られても、その過程で培ったノウハウと連携体制は私たちの生活文化の拠り所である産業遺産の保存と活用に大きな貢献をしてくれるでしょう。世界遺産への道が遠くても、これらの取組が将来の素晴らしい地域づくりへと繋がるものであります。
引き続き、県や市町、大学が積極的にそのリーダーシップをとられることを期待します。
※ツーリズム研究会会誌『ツーリズム研究』第7号(2009年2月)掲載の「最大のツーリズム資源“世界遺産”登録をめざして」(中嶋邦弘)に加筆
(2009年1月〜2016年2月)
【参考資料】(文化庁の文化審議会資料等を参照しました。)
【稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群を世界遺産登録に向けて推薦する場合の取扱い等について
 平成24年5月25日 閣議決定】

 「規制・制度改革に係る方針」(平成23年4月8目閣議決定)における規制・制度改革事項である「稼働中の産業遺産の世界遺産ヘの登録」について、「産業遺産の世界遺産登録等に係る関係省庁連絡会議」(平成23年3月7日関係省庁中合せ)での検討を踏まえ、稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群を世界遺産登録に向けて推薦する場合の取扱い等を、以下のとおり定める。
1.「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(平成4年9月30日発効)を踏まえ、稼働中の産業遺産を含む案伴の世界遺産への推薦に係る手続きは、顕署な普遍的価値、真正性及び完全性を有することを明確にすること及び世界遺産登録後に適切に保全等が行われる体制を確保することの重要性を十分に踏まえて進めることとする。また、世界遺産の保全等をより効果的・効率的に進めるための環境整備を図ることが必要である。
2.稼働中の産業遺産は、稼働を継続することが遺産価値の保全につながることを踏まえ、世界遺産登録への推薦に当たっては、その保全手法について、稼働を担う所有者の意向及び本分野における経験・知見を有する国内外の専門家の意見を最大限に尊重し、遺産価値の適切な保全と価値保全が経営に与える制約の最小化との両立を図るべく、個別の資産の伏況に応じて、最も適当な法律に基づく手法、地方公共団体による条例、国・地方公共団体と所有者との間の協定等の手法を活用することを原則とする。
3.稼働中の産業遺産の適切な保全のためには、関係者の連携が重要であることから、地区(サイト)ごとに、稼働中の資産の保全手法を所管する省庁、稼働中の資産に係る産業を所管する省庁、関係する地方公共団体(保全手法、産業を所管する立場)、所有者等からなる稼働資産保全協議会(以下、「地区ごとの協議会」という。)を開催し、稼働中の資産に係る保全方策の合意形成、文書による確認、モニタリング等を関係者の連携のもと進める。
4.稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群について、遺産又は遺産群全体の観点からの保全方策に関する調整、モニタリング等を行うため、関係する省庁及び地方公共団体による保全委員会を開催する。
5.稼働中の産業遺産は比較的新しい分野であることを踏まえ、本分野において経験を有する国内外の専門家を中心とする稼働資産を含む産業遺産に関する有識者会議(以下、「有識者会議」という。)を開催し、保全方策の妥当性及び遺産価値の評価等を行うとともに、世界遺産登録への推薦侯補の選定を行うこととする。
6.稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群については、その保全方策の妥当性の評価及び遺産価値の評価について、広い知見の活用を図ることが重要であるため、有識者会議における検討に当たっては、文化審議会及び稼働中の資産に係る産業に関連する審議会に加え、必要に応じ、稼働中の資産の保全手法に関連する審議会に意見の提出を求め、提出された意見を踏まえて検討を進めることとする。
7.稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群の世界遺産登録に向けた推薦(推薦書正式版提出時)に当たっては、保全に係るフレームフークの信頼性を高め、政府全体で保全に向けて取り組む姿勢を明確化する観点から、閣議丁解により行うこととする。また、閣議了解に当たり、上述の保全のフレームワークのもと政府が保全に取り組むことを明記する。
8.上記の取扱い等の詳紬については、別図として、地区ごとの協議会に関する図、保全委員会に関する図及び推薦等の干続に関する図を示す。(省略)
【グローバル・ストラテジーについて】
 「世界遺産一覧表における不均衡の是正及び代表性、信頼性の確保のためのグローバルストラテジー(The Global Strategy for a Balanced, Representative and Credible World Heritage List)」は、1994年6月にパリのユネスコ本部において開催された専門家会合における議論をまとめた報告書に基づき、同年12月にタイのプーケットで開催された第18回世界遺産委員会において採択された。
 グローバル・ストラテジーの中では、登録遺産の記念的建造物への偏重が、文化遺産に多面的かつ広範な視野を狭める傾向を招き、ひいては生きた文化や伝統、民俗学おより民族的な風景、そして普遍的価値を有し、広く人間の諸活動に関わる事象などを対象から除外する結果となっていることが再確認された。
 さらに、世界遺産一覧表を代表性及び信頼性を確保したものにするためには、遺産を「もの」として類型化するアプローチから、広範囲にわたる文化的表現の複雑でダイナミックな性格に焦点をあてたアプローチへと移行させる必要のあることが指摘され、人間の諸活動や居住の形態、生活様式や技術革新などを総合的に含めた人間と土地のあり方を示す事例や、人間の相互作用、文化の共存、精神的・創造的表現に関する事例なども考慮すべきであることが指摘された。
 以上のような指摘を踏まえ、現在、比較研究が進んでいる分野として、下記の3つの遺産の種別が示された。
  ・産業遺産
  ・20世紀の建築
  ・文化的景観
【世界遺産暫定リスト追加のための審査基準(文化庁)】
@当該提案に係る文化資産は、原則として複数の資産で構成され、共通する独特の歴史的・文化的・自然的主題を背景として相互に緊密な関連性を持ち、一定の場・空間に所在する一群の文化財(下記Eの文化財))であって、総体として世界遺産条約第1条に記す記念工作物、建造物群、遺跡のいずれかに該当するものであること。
A「顕著な普遍的価値」を持つ可能性が高い文化資産であること。
B「ユネスコ作業指針」が示す「顕著な普遍的価値」の評価基準((i)〜(vi))(別紙1参照)の一つ以上に該当する可能性が高いと判断される文化資産であること。
C当該提案に係る文化資産が、(個々の構成資産のみならず、総体として)、日本のみならず周辺地域の歴史・文化を代表し、独特の形態・性質を示す文化資産であると認められる可能性が高いこと。
D真実性/完全性の保持に関する証明の可能性が高いこと。
E構成資産の候補となる文化財の大半が、国により指定された文化財(国宝若しくは重要文化財又は特別史跡名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物に指定され、又は重要文化的景観若しくは重要伝統的建造物群保存地区に選定されているもの)又はその候補としての評価が可能な文化財であること。(原則として、複数の国指定の文化財が合まれていることが必要)
F当該提案に係る文化資産の全体について、保存管理・整備活用に関する考え方(基本的な理念、基本方針等)が示されていること。さらに、包括的な保存管理計画及び個々の構成資産についての保存管理計画(注)の策定を行う旨、明言されていること。
(注)特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の保存管理計画、国宝又は重要文化財の保存活用計画、重要文化的景観又は伝統的建造物群保存地区の保存計画を含む。
G上記Fの保存管理・整備活用に関する考え方の中に、周辺環境とも一体的な保全の方向性が示されていること。さらに、関係地方公共団体が、構成資産と一体を成す周辺環境に係る保全措置の方法を積極的に検討していく旨、明言していること。

上記基準@−Gの基準の該当性を判断するにあたっては、世界遺産委員会が「世界遺産一覧表における不均衡の是正及び代表性、信頼性の確保のための世界戦略(グローバル・ストラテジー)」(1994)において示した遺産の価値評価に関する方針別紙2参照)をはじめ、近年の世界遺産委員会における文化資産の価値評価の在り方、登録に係る審査の動向等を考慮すること。

【世界遺産一覧表への評価基準(ユネスコ作業指針)】
 世界遺産委員会の定める「世界遺産条約履行のための作業指針」に次のとおり規定されている。
段落77 本委員会は、ある資産が以下の基準(の一以上)を満たすとき、当該資産が顕著な普遍的価値(段落49−53を参照)を有するものとみなす。
i)人間の創造的才能を表す傑作である。
ii)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
iii)現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、或いは景観を代表する顕著な見本である。
V)あるひとつの文化(又は複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である。(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
vi)顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
vii)最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
viii)生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
ix)陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群衆の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
x)学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
段落78 顕著な普遍的価値を有するとみなされるには、当該資産が完全性及び/又は真実性の条件についても満たしている必要がある。又、確実に保護を担保する適切な保護管理体制がなければならない。
※ 資産を適切に保全するために必要な場合は、適切に緩衝地帯(バッフア・ゾーン)を設定することが求められている。(段落I 0 3)
 
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