地質遺産「世界ジオパーク」、山陰海岸(但馬海岸)
 (ツーリズム政策と提言 3)
地質遺産「世界ジオパーク」、山陰海岸(但馬海岸) 
 山陰海岸(但馬海岸)が、2010年10月4日、世界ジオパークネットワーク(GGN)から「世界ジオパーク」に認定されました。国内では、4地域目。
 また、「山陰海岸ジオパーク国際学術会議・城崎会議」を、2011年10月29日から31日に、城崎温泉の西村屋ホテルでの開催が発表されました。山陰海岸がジオパーク活動のアジアにおける重要な位置を占め、国内外にPRする。世界各地の地球科学の研究者たちが城崎に集まってくる。会議のテーマは「地球科学とツーリズム〜日本海形成に伴う多様な地形・地質をツーリズムにどう活用するか」です。詳細は、山陰海岸ジオパーク推進協議会のホームページをご覧下さい。
●ジオパークとは
 「ジオパーク」とは、ユネスコの支援のもと、科学的に特別かつ重要で貴重、あるいは美しい地質遺産を多く含む自然を保全し、ジオツーリズム(地質遺産観光等による地域活性化)、地球科学普及等に活用しようとするものです。 主に欧州や中国で積極的に取り組まれています。
(1)世界ジオパークネットワーク参加の要件
 ジオパークは、ユネスコの支援により設立された世界ジオパークネットワーク(2004年設立)により、世界各国で推進されています。ジオパークは、以下のように定められています。
@ 地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産を多数含むだけでなく、考古学的・生態学的もしくは文化的な価値のあるサイトも含む、明瞭に境界を定められた地域である。
A 公的機関・地域社会ならびに民間団体によるしっかりした運営組織と運営・財政計画を持つ。
B ジオツーリズムなどを通じて、地域の持続可能な社会・経済発展を育成する。
C 博物館、自然観察路、ガイド付きツアーなどにより、地球科学や環境問題に関する教育・普及活動を行う。
D それぞれの地域の伝統と法に基づき地質遺産を確実に保護する。
E 世界的ネットワークの一員として、相互に情報交換を行い、会議に参加し、ネットワークを積極的に活性化させる。
F 防災への取り組みも重視する。地質災害に関して社会と知識を共有するためにジオパークを役立てる。
※この7の項目は、2008年6月にドイツのオスナブリュックで開催された第3回ユネスコ国際ジオパーク会議宣言より
(2)世界ジオパークネットワークへの道筋
@地域で声を挙げる
  o 地域協議会を立ち上げる。
  o 地質・地形遺産を中心とした自然・文化遺産をリストアップし、それらを教育・普及、ジオツーリズムに活用する体制を作り始める。
A 日本ジオパークネットワーク(JGN)に参加する。
  o 地域協議会はまだなくとも参加は可能。
B ジオパーク運営組織を立ち上げジオパークとしての活動を開始する。
C 日本ジオパーク委員会(JGC)がユネスコガイドラインに基づいてその活動を評価し、一定水準に達したものにJGN加盟を認める。
  o この段階で、はじめて「ジオパーク」という名称とロゴを使用することが出来る。
  o それまでは、JGNにはオブザーバー参加で、○○ジオパーク(申請中)と表記する。
D日本ジオパーク委員会(JGN)は、優れた地質・地形遺産があり、その活動が世界水準に達したジオパークを世界ジオパークネットワーク(GGN)申請候補に選定する。
E 選定を受けた各地域の運営組織が、GGNに申請書を提出する。
F GGNの依頼を受けた委員会が書類審査・現地調査を行い、GGN加盟の可否を判定する。
G GGNに加盟したジオパークは、世界のジオパークと連帯して日本ジオパークの模範となって、ジオパーク運動の推進に努める。
(「日本ジオパーク委員会資料」より)
(3)世界ジオパークネットワークへの体制図
●山陰海岸ジオパーク
 山陰海岸ジオパークは、山陰海岸国立公園を中心とする京都府京丹後市の経ヶ岬から鳥取県鳥取市の湖山池西端を含めた白兎海岸までは、日本列島がアジア大陸の一部であった時代の岩石から、今日に至るまでの経過が確認できる貴重な海岸を対象としています。東西約110q、南北最大30kmの地域。 
 これら地質遺産が連続する京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(岩美町・鳥取市)の民間団体や行政機関が連携し、「世界ジオパークネットワーク」に加盟し、種々の活動を進めています。特に、協議会等が散策モデルコースガイドマップまるごと体感MAPを作成、豊岡市や新温泉町などがガイドの養成や資料館の整備に取り組んでいます。
【新温泉町山陰海岸ジオパーク館】
 山陰海岸ジオパークについての資料の収集・保管、展示や体験学習のできる資料館がオープンしました。場所は、新温泉町芦屋水尻(浜坂県民サンビーチ内)、入場無料、火曜日休み。(2010年6月現在)
(1)基本理念
「日本海形成と日本列島弧誕生のダイナミクスを体感するジオパークの創造」
「 山陰海岸の地形、地質、そして、自然と文化のフィールドミュージアム」
(2)山陰海岸(但馬海岸)の概要
山陰海岸(但馬海岸)の概要・見どころ
豊岡市
香美町
新温泉町
(1)多彩な表情を持つ「地形・地質の博物館」 大浦海岸、はさかり岩、淀洞門、宇日の流紋 松ヶ崎百層崖、但馬赤壁、鎧の袖、窓島(めがね島) 鬼門崎、獅子ノ口、三尾大島
(2)山陰海岸の貴重な植物&動物たち コウノトリ、アベサンショウウオ生息地 香住海岸のツル類の化石 浜坂芦屋海岸の砂浜、田君川バイカモ群落
(3)世界に誇るべき山陰海岸のスゴイトコ 玄武洞、香住海岸 但馬御火浦 浦富海岸
(4)名湯から秘湯まで・・・、温泉王国ようこそ 城崎温泉、日和山温泉、竹野温泉 矢田川温泉、佐津温泉、柴山温泉、香住温泉、余部温泉 七釜温泉、湯村温泉、浜坂温泉、二日市温泉
(5)山陰海岸と豊から海が育む美味しい幸 松葉ガニ、紅ズワイガニ、活イカ、天然岩ガキ、岩ノリ、へしこ、焼きちくわ、イカ天日干し
(3)山陰海岸ジオパークの主な動き
(1) 「因但県境自治体会議」(会長・馬場雅人新温泉町長)で、国内で初のジオパークを目指すことを承認(2006/11/05)。 
(2) 山陰海岸ジオパーク推進協議会が県・市町村・観光協会・商工会・漁協等34団体で結成され、山陰海岸ジオパーク推進但馬宣言が出されました。(2007/7/16)
(3)世界ジオパークネットワークへの2008年国内候補決定見送り。(JGC)  (2008/10/20)
   (2009年の世界ジオパークネットワーク(GGN)国内候補選定を目指しましたが、認証されませんでした。)
(4)日本ジオパークネットワーク(JGN)への加盟決定。(JGC)(2008/12/8)
(5)世界ジオパークネットワークへの2009年国内候補に、ただ一つ、山陰海岸が選ばれました。2010年のGGN登録を目指して、申請されることとなりました。(JGC)(2009.10.28)
(6)世界ジオパークネットワーク(GGN)の視察委員が現地調査。(2010.8.2)

(7)世界ジオパークネットワーク(GGN)の最終審査で、世界ジオパーク認定が決まった。 (2010.10.4)
(8)ギリシャのレスヴォス島の世界ジオパークとの姉妹提携を提案。(2010.10.4)
(9)山陰海岸ジオパーク国際学術会議・城崎会議の開催計画を発表。(2011.6.1)
(10)山陰海岸ジオパークは、4年ごとに行われる「再認定審査」を2013年11月に受け、同12月、無事再認定(日本)され世界ジオパークネットワーク(GGN)に申請されました。保全、学術研究支援など地域一体の取組みが評価され、これらの活動を背景に、旅行者の増加やジオパークを利用したビジネス創出による I ターン・Uターンの移住者があわられるなど、認定による効果で、地域住民同士のネットワーク強化に期待されます。同時に、山陰海岸ジオパークに、鳥取県西部が加わり、エリアが拡大されました。湧水を利用した生活文化、活断層地形と鳥取地震の災害遺構、鳥取砂丘から連続する砂丘地形がポイントです。
(11)2014年9月、世界ジオパークネットワーク(GGN)国際大会で「山陰海岸」は、鳥取砂丘(鳥取市)から西に続く砂丘地形など10kmほど範囲を広げて申請、無事再認定されました。
 山陰海岸ジオパーク推進協議会「山陰海岸ジオパーク」サイト へ
●既に認定登録された日本の世界ジオパーク、他の6地域(全7地域)(2014年9月まで)
 日本では上記の「山陰海岸ジオパーク(京都府・兵庫県・鳥取県)」と合わせて7地域が認定されてます。
(2013年9末現在で、GGN認証の世界ジオパークは、30カ国100地域)

洞爺湖有珠山(北海道) 2009年8月認定 最近100年で4回噴火した有珠山や約10万年の火山活動によるカルデラ湖という美しい山と湖の景観、自然の恵みと災害が評価。
糸魚川(新潟) 2009年8月認定 日本を二分する糸魚川構造線(断層)や、本州中部を銃弾するフォッサマグナ(巨大地溝帯)が確認できる断層など、特徴的な地形が評価。
島原半島(長崎) 2009年8月認定 1990〜95年噴火の雲仙普賢岳の災害等の爪跡が確認でき、温泉や湧き水等の火山の恵を実感できるのが評価。
室戸(高知) 2011年9月認定 プレートテクトニクス理論を陸上で実証する地質、海成段丘・地形、加奈木崩れなどの地質遺産、天然記念物の亜熱帯植物などが評価。
隠岐諸島(島根県) 2013年9月認定 180以上の島々から成り、約1万年前に離島となり、氷河期からの大地の成り立ちが分かる地質や独自の進化を遂げた生態系などが評価。
阿蘇(熊本県) 2014年9月認定 世界有数の巨大なカルデラや、多くの火山体で構成される火山群などの雄大かつ多様な火山地形、地質を特徴とする。 
●日本ジオパーク(30件)(2014年まで)
(1)2008年12月認定
アポイ岳ジオパーク(北海道)、南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク(長野県・静岡県・山梨県)
(2)2009年10月認定
恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク(福井県)、阿蘇ジオパーク(熊本県)、天草御所浦ジオパーク(熊本県)
(3)2010年9月認定
白滝ジオパーク(北海道)、伊豆大島ジオパーク(東京都)、霧島ジオパーク(宮崎県・鹿児島県)
(4)2011年9月認定
男鹿半島・大潟ジオパーク(秋田県)、磐梯山ジオパーク(福島県)、茨城県北ジオパーク(茨城県)、下仁田ジオパーク(群馬県)、秩父ジオパーク(埼玉県)、白山手取りジオパーク(石川県)
(5)2012年9月認定
ゆざわシオパーク(秋田県)、箱根ジオパーク(神奈川県)、八峰白神ジオパーク(秋田県)、銚子ジオパーク(千葉県)、伊豆半島ジオパーク(静岡県)
(6)2013年9月、12月認定

三笠ジオパーク(北海道)、三陸ジオパーク(青森県、宮城県、岩手県)、佐渡ジオパーク(新潟県)、四国西予ジオパーク(愛媛県)、おおいた姫島ジオパーク(大分県)、おおいた豊後大野ジオパーク(大分県)、桜島・錦江湾ジオパーク(鹿児島県)、とかち鹿追ジオパーク(北海道)
(7)2014年9月認定
立山黒部(富山県)、南紀熊野(和歌山県)、天草(熊本県)
アポイ岳ジオパーク(北海道)、および伊豆半島ジオパーク(静岡県)の2件を、世界ジオパークネットワーク(GGN)国内候補として申請しています。
●日本ジオパーク認定を目指す地域(15地域)
下北半島(青森県)、栗駒山麓(宮城県)、蔵王(宮城県)、筑波山地域(茨城県)、古関東深海盆(千葉県)、嬬恋村(群馬県)、苗場山麓(新潟県、長野県)、奥飛騨温泉郷(岐阜県)、いづも(島根県、鳥取県)、美弥(山口県)、北九州(福岡県)、三島村(鹿児島県)、土佐清水市(高知県)、秋川流域(東京都)、月山(山形県)
(2009年8月〜2014年9月)
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