すり・置引き“高等戦術”にもご注意を!(海外トラブル)
 
ツーリズム関連のレポート・エッセイ集 23)
すり・置引き“高等戦術”にもご注意を!(海外トラブル)
『香港駐在生活・こぼれた話こぼれなかった話』(中嶋邦弘)より
2002.2.1 神戸新聞総合出版センター 発行
 すり・置引きなどには、単純な仕掛けへの警戒、油断せずに対処されていれば、基本的にはまず安全といったところか。
 ところが、それだけ注意をしていても、相手はその辺りは折込済みで、一段と込み入った仕掛けをしてくる。高等戦術だ。ここに紹介するケースは全て実際に起こったこと。自分は大丈夫と気構えていても、乗せられてしまわないように。
「各々方、夢々油断めされるな。」 
@ 両替詐欺にだまされない
 すり、置き引きとは違うが、日本人相手専門のだましのテクニックも。夜に街を案内して後、ホテルのロビーで別れた団体役員M氏に、明朝出会って聞いた経験談。
 エレベーターに乗り込むと上品な外国人が英語で話しかけてくる。内容は、明日、日本に行くことになっているが日本のお金(札)はどのようなものか見たことがないので1万円札を持っていたら見せてほしい、そしてできたら100USドル札と交換してほしい、とのこと。当時の円ドル交換レートは1USドルで130円程度で、1万円で100USドルと交換できれば損な話ではない。相手は胡散臭くなく紳士然とした感じ。親切心も起きて、本来ならオーケーと言うところであったが、たまたま当日の夕食時に私から聞いていた両替依頼に乗らないようにとの注意を思い出し、断った。
 このケースは、香港ではやっていた日本人観光客を狙った偽ドル紙幣交換詐欺の未遂事件である。この偽ドルは銀行や両替屋ではすぐ見破られてしまうが、親切そうな日本人に上手く押しつけて1万円を持ってドロンする極めて簡単な手口。
 でも本当にアドバイスした矢先に、偽ドルを使う本物に遭遇するなんて。被害が無くて本当によかった。
A 陽動作戦に乗るべからず
 混み入った手練手管でやられる訳でもなく、極めて単純なケースが多い。この程度なら自分はもっと注意するから大丈夫だ、被害に遭うはずが無いと考えておられたら、甘い。警戒していても、ちょっと陽動作戦の挑発にのって注意を逸らされて、地団駄を踏むことになる。
 今流行は、片言の日本語で「服が汚れていますよ」と言って、わざと肩先に汚物を付け、当人がびっくりしている間に、すり仲間がハンドバッグの中身を抜いていくケースなど。
 地下鉄ホームから出口へ、エスカレータに乗っていた時のこと。前に1人、後ろに1人、サンドイッチ状態で動いていく。突然、降り口で前の人が地下鉄パスを足元に落として拾おうとするがもたもたする。続くターゲット者はエスカレータに乗ったままで前の人にぶつかり足止めされる。後ろの人も詰まってターゲット者の方に寄りかかる。ものの2〜3秒のことでやっと拾えてエスカレータから3人とも降りる。これでターゲット者はオーバーコートを着ていたにもかかわらず、ズボンの後ろポケットに入れていたものをすっていかれた。2人1組のちょっとした陽動作戦すり。香港でもよく聞いたこの手口は見事なもの。後日、この話を聞いていたにもかかわらず、E氏がパリの地下鉄で経験しようとは思わなかった。
B クレジットカードの悪用にも注意
 すり・置き引きではないが、観光客も含めて最近急増しているカード被害がある。店でクレジットカードを使って購入したら、カードを店員に渡し、打ち出されてきたシートにサインするのだが、この時のちょっとした不注意から後々の面倒に巻き込まれる。
 客が油断している隙に、または客から見えにくい奥の方に持っていったり背を向けて、カードをシートに転写する際に多数同じ物を刷っておく。
 その内の1枚に買い上げの品目や金額を正しく記入してサインを求めてくる。そして、後日、サインをそっくりに真似て偽造されたシートで、色んな商品の購入による請求があなたの銀行口座から引き落とされることになる。
 最近では、カードの電子記録を隙を見てカードリーダーで盗み読みし、同じ複製を偽造する手口も多い。
 店の奥にカードを持って入ってしまうような店や、店員の変な仕種には要注意。目の前でシート作成をしてくれるような店でなければ安心できないのである。
(現在では、常識となって、みな気を付けるようになっているが)
C 宝石すり替えられてイミテーション買い
 これもカードと同様に、場末の宝石店でよく起きる被害。
 宝石がきらびやかに並ぶディスプレイ・ショウケースの上で、実物を良く吟味して購入するのだが、いかに証明書付きであろうが、目利きで良い物を選んでも、持って帰って鑑定してもらうとタダ同然の安物ということがある。これは、選んだ商品実物を包装する際に、客の眼前ではなく店の奥に持って入り、そっくりの模造品と入れ替えて包装し、客に渡しているのである。
 本当にそっくりの品がすり替えてあって、高価な買い物をしたつもりが金だけ払っての安物買いをさせられるケース。ちゃんとした店を選ぶこと。
D宝石屋で命を失うこともある災難
 宝石屋の店内で買い物をしていると、突然、自動小銃などで武装した数人の覆面強盗が乱入し、銃を突きつけ宝石類を強奪して逃げて行く事件が多発しています。
 急報で駆けつけてきた警官達と銃撃戦になり、店内や路上、逃げ込んだ地下鉄の駅構内などで市街戦を展開し、流れ弾で市民や買い物客が死亡する事件が、時々起きている。
 彼らのことを当時香港では「省港旗兵(さんこんけいべん)」と呼ぶ。隣接する中国広東省あたりから香港にやってくる赤旗兵(紅衛兵)くずれという、昔の映画の題目からとっています。こんな無茶苦茶な、しかも結構頻発する強盗事件に巻き込まれないように、襲われそうな店での買い物は控えたほうが良い。命まで取られては宝石どころではない。すり、置引きのほうがまし。
※前掲載のレポート(22)で、基本的な「すり・置引きなど」のケースを紹介しています。
 (22)すり・置引きにご注意を!(海外トラブル)
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