この飛行機、大丈夫?(海外トラブル)
 
ツーリズム関連のレポート・エッセイ集 24)
この飛行機、大丈夫?(海外トラブル)
『香港駐在生活・こぼれた話こぼれなかった話』(中嶋邦弘)より
2002.2.1 神戸新聞総合出版センター 発行
(1)使い古しの機体?
 1988年の9月。翌年春に香港で開催する兵庫県の地場産品輸出見本市の企画打ち合わせに、日本から来港する予定のフェア実行委員会の一行を、香港啓徳空港に出迎えるため、昼前、到着便の確認のために空港に電話を入れた。
 当日は朝から大雨が降っており、濃霧も加わって時折滝のような豪雨にも見舞われていた。しかし、電話は何回架けても繋がらない。
 それもそのはず、ちょうどその時、空港は飛行機の墜落事故で上へ下への大騒ぎの真っ最中だったのである。
 当日朝に中国広東省の首都、広州の白雲空港を出発した定期便がお昼頃に、この悪天候の中、香港啓徳空港に着陸しようとして前脚を破損してそのままオーバーランし、滑走路沿いの海に突入転落したのである。
 機体は古いソ連製で、私も香港から広州へ出張した際に何回か乗ったことがある機体だった。最近でこそ中国は国際線を中心に新型機を導入しだしたところだが、当時はまだ、このような使い古された飛行機を国内線のみならず国際線にも使用していた。
 事故の際には運良く乗り合わせていませんでしたが、同機には何回か搭乗したことがある。「明日は我が身」になることもあったのだ。
(2)機体整備、ちゃんとやってる?
@ 離陸して窓の外を見ると何かがヒラヒラしている。よく見ると、窓ガラスを止めているシーリングのゴム片が外れかかって風にたなびいていた。
A 座席でテーブルを出そうとすると、ガタッとはずれてしまった。隣の座席も、また各所でも悲鳴が連続する。
B 座席まわりは、かなりネジ釘で止められているが、同一箇所にプラスねじやマイナス
ねじが混在して、しかもねじのサイズが違うので途中までしか止められていないものもあり、手でも簡単に抜けた。オッ、分解してしまうぞ。
C 座席の窓側に座って窓枠を見たら、接着剤で割れ目を修理した跡がある。その跡を上下に辿っていくと、ちょうど天井から床までの亀裂を修理していた。真二つ?になってたのか。
D 飛行機に乗り込む際にドアの蝶つがいのところを見ると、グリスを塗った形跡が無い。錆びが浮いている。
(3)操縦はベテランにお任せ
@ 運航応援として、軍のパイロットが民間旅客機を操縦することがあるそうです。こんな時、誘導路を走って、スピードを緩めず急カーブを曲がって一気に滑走路に進入して離陸する(通常は、滑走路に入ったところで一端停止し、エンジンをふかす)。通路側に座っている乗客は、座席ベルトをしめていても転げ落ちそうになり、機内に叫び声と批難のブーイングが響き渡る。スポーツカーでの急コーナリングよりきつい。
A 滑走路に着地して逆噴射をかけて急制動するが、その際、スキーのウエーデルンをやっているようにおしりを振って、右に左に蛇行した。悪天候の飛行でガタガタ揺れても恐くはなかったが、さすがこの時は空港でのオーバーラン事故(上記)の直後だけに背筋が凍った。
(4)機内で異変?
@ 機内で雨が降る。これは本当。冷房の加減で、座席上方の冷気吹き出し口の金具が結露し、これがポタポタと乗客の上に降り注ぐ。そう、まさに降ってくるのです。冗談のきつい、あるいはユーモアたっぷりか、同乗のイギリス人は、機内で傘をさしていた。でも、これでもまだましな方。
A 滴の垂れるのは何時ものこと。でも、これはひどい。離陸にむけてスピードを増して機首をガクンと上に向けた時、天井のパネル内に溜まっていた水が瀧のように機内後方へ落ちてきた。バケツの水をひっくり返したように、幸いにも通路を直撃。上空で水平飛行に移った途端、こんどは機内前方の通路へ大シャワー。機内の足元は床上浸水。香港から目的地までの30分間この状態のまま。
B 飛行中、気流の悪いところで機体が激しく揺れて、座席上部にある荷物棚の扉が一斉に開いて、水ならぬ荷物が乗客の上にドサドサッと降りかかった。乗客と荷物併せてユッサユッサとミキシング。
(5)その他のサービス
@ 空港では搭乗ゲートから直接乗り込めない航空会社便がある。送迎バスまたは徒歩で飛行場のなかを行き交う運送車の隙を見て辿り着く。そして、タラップを上ることになる。大雨の時は、気持ち程度のビニール・カッパは支給されるが、当然びしょ濡れ。搭乗するタラップは大変狭く、手摺りはグラグラで、大きな手荷物を持ってバランスを崩そうものなら地上へ墜落を覚悟。こわいよ、本当に。
A 夏、炎天下に留めている飛行機に乗り込み着席したらすぐに搭乗記念土産の扇子が配られる。粋なサービスと思っていたら、冷房が全然効かないからせめてこれでも使ってくださいということ。機内は蒸し風呂。おまけに、出てくる機内サービスのジュースは体温より暖かくなった紙パック入り。状況はほとんど変わっていないのに、最近では扇子もくれなくなった。
B ある航空会社のステュワーデスは笑わないと言われているが、唯一笑顔が見れる時があるとの定評に注意して見ていると正にそのとおり。目的地に着いて乗客が飛行機から降りて居なくなっていく時である。噂のとおり。でも今はどうだろうね。
※次回の掲載のレポート(25)で、運行上の「飛行機トラブル集」のケースを紹介します。
 飛行機運行トラブル集(海外トラブル)
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