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あの夏、僕たちは幽霊に遭遇した |
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その時いとこが提案する。 「峠のところに一本松が見えるだろう。実は、3日前にあの松で首つり自殺した人があって大騒動だったんだ。ちょっと行ってあの松を見に行かないか」 僕たちは怖い半面、興味深々といったところで、いとこが先頭に立って3人揃って峠を登り始めた。あと20メートルほどで松の根元に着くところ。 突然、峠の向こう側から車のエンジン音と共に、1台の自動車が姿を現した。車が峠の頂上にある松の根元を通り過ぎた途端、何故かエンジン音は消えた。砂塵を巻き上げながらタイヤが道をかむ音だけを響かせながら近づいてくる車に只ならぬ雰囲気を感じた僕たち3人は、運転席を見た。誰も乗っていない。ただ、ハンドルだけが見えて動いていた。 |
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真夏のあの日、僕たちは幽霊に遭遇したと信じている。 (2016年10月) |
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※1:約60年前(昭和30年頃)の小学生高学年の頃のことだった。 ※2:いとこの家は妙法寺(神戸市須磨区)近隣。 ※3:記憶が定かではないが、いとこの家から500メートル北奥の神戸赤十字病院付属須磨診療所(現在廃止)が建っていた裏山周辺でのことか。 ※4:落合池は、現在の神戸市営地下鉄名谷駅前北側に調整池として残っている。 |
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