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幻の東播磨鉄道計画、一考察 |
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神戸市須磨区の板宿(飛松町)と明石郡大久保村省線大久保駅前の間19.8kmをたった20分で繋ごうとするもの。路線は、市電板宿駅北方の飛松町2丁目11番地を発して、月見山町で工事中の放射道路「神戸明石線」と併行して須磨寺遊園地北側を通り、鉄拐山・塩屋・垂水ゴルフ場・多聞西部の4か所のトンネルを通って明石郡に出る。トンネルの規模を大きくして勾配を出来る限りなくすことに注力し、明石平野に出ると平地が続き、明石市東北方をかすめて伊川谷村(現神戸市西区)潤和、玉津村(現神戸市西区)西河原、森友、吉田から再び明石市を通過して、県道神戸明石線と離れて終点の大久保駅前(明石郡大久保町大窪237番地)まで、高速走行が可能となるコースをとる、としている。 ただ、市電延伸の終点とする大久保駅前については、さらなる延伸を考慮した計画の存在を鑑みれば、駅前のより北方(同じく大久保町大窪)に設定したほうが延伸路線の直線性と高速性を維持できるので、最適地と考えられます。現在この路線は、大部分が直線道路となっています。 |
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想定される路線図 |
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2.東播磨内陸鉄道網整備計画 太平洋戦争中において、東播磨地域に立地する軍事施設(神野弾薬庫など)や軍需工場などと神戸港とを結んで、武器の製造・輸送を飛躍的に利便性を高め、神戸大港都建設計画の一環として、戦下の中、公共機関や軍事施設の分散疎開、住民・労働者の住宅確保や通勤にも役立てようとする「東播磨内陸鉄道路線計画」もありました。 |
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路線としては、東西に、神戸港・中心市街から加古川の日岡の間を基幹路線として、南北に、三木から大久保の間と加古川厄神から加古郡土山の間の2軸を交差させた計58km(当時の総工費1億8910億円、工期は14年を予定)が見込まれていた。詳細な実際の路線は決まっておらず、前述1の神戸市弾丸市電延伸計画と共用して二重投資を回避し、かつ利便性の高い路線コースを設定することになったであろう。 神戸港から三宮は市電軌道を活用して省線との結節、省線にて鷹取(ここからは、南の油槽基地との専用鉄道もあった)まで、ここから板宿西方の須磨寺遊園北方にて合流する弾丸市電軌道にて大久保に到着する。ここからは加古川の日岡駅に向かって、更に西方延伸を目指したものと思われます。想定される路線は、ほぼ直線的に現在の県道平荘大久保線を使い、加古郡(現、稲美町)の天満大池付近を通過し、弾薬庫のあった加古川神野を経て遺跡の集合する日岡山公園南をかすめて日岡駅に至る。 南北の三木〜大久保路線、おとび厄神〜土山路線は、ともに田園地帯を通過しているので比較的直線的に結んだであろう。 |
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東播磨内陸鉄道網計画の路線想定図 |
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戦争が終り、軍関係や戦災疎開の必要性が消滅、戦後復興が緊急課題となって、神戸市と明石市との合併問題は成立せず、明石郡東部の村が神戸市と合併して現在に至る。もちろん鉄道計画は顧みられることもなく、自動車交通が主流となって鉄路計画は道路整備へと姿を変えて、戦後のこの地域の経済発展を支えてきた。 今、神戸市西部から東播磨内陸地域における直線道路を、鉄路計画実現時の風景を思い浮かべながら走っている。(2017年9月) |
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