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古民家の再生促進
(地域の活性化、まちづくり・まちおこしへの取組み 15)
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古民家の再生促進 |
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戦後、経済・社会の発展、生活スタイルの激変の中にあって、旧来のものが取り壊されて、いま私たちの周りから姿を消しつつあります。しかし最近では、古くから伝わっている身近な郷土の宝や文化を貴重なものとして大切にしようという認識が広まってきました。
特に、郷土に伝わる伝統的な古民家は、日本の住文化を伝える遺産です。このような民家を修復保存し活用して、後世に引き継がなければなりません。ところが、若い世代は新しい住環境を求めて古民家を離れ、高齢者の独居または所有者が不在か遠方在住とかで、空き家のまま放置されたりしている古民家が散見されるようになりました。
郷土の遺産として保存・活用しようとする場合でも、市町資産として購入したり、文化財に登録または指定された場合は特別ケースです。個人または地域コミュニティが独力で行うことは、維持補修に係る高い経費が障害となっています。正に、古民家が廃屋となって取り壊されるか、保存・活用の手が差し伸べられるか、私たちはいま岐路に立っているのです。 |
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この古民家再生に全国で様々な取組みがされ始めました。日本民家再生協会(JMRA)や、各地の古民家再生協会、伝統資財再生機構、200年住宅再生ネットワーク機構、おんなたちの古民家 グリーン建築再生機構、住宅建築コーディーネーター協会、伝統素材伝承支援協会、古民家トラスト団体等が活動を続けています。 |
兵庫県の「古民家再生促進支援事業」について(2007年度/平成19年度〜)
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(1)そこで、兵庫県では、全国に先駆けて、文化財や伝統的建造物郡などの既存の補修支援制度に該当しない場合でも、古民家の再生促進を支援(専門家の派遣、助成金の交付)する制度を設けています。予算の枠で、年間対応件数に制限がありますが、地域のための取組みを強力に後押ししてくれることは心強い限りです。平成19〜21年度(2007〜2009年度)は専門家派遣による「建物調査・再生提案」を、平成22年度から(2010年度〜)は「改修工事費助成」を始めました。(2011年12月)
(2)その後、「活用用途の拡大」が認められ(2012年、平成24年)、続いて「自主提案の導入」(2013年、平成25年)、「改修工事費助成の歴史的建築物への補助額嵩上げ」(2014年、平成26年)が実施され、2017年、平成29年からは「改修工事費補助の耐震性確保及び事業完了後の活用報告の義務化」が組み込まれました。(2018年6月)
(左:『〜隠れた資源を未来の地域創生に活かす〜ひょうごの古民家再生 十年の軌跡』 |
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●支援事業の概要(平成30年度現在)
古民家再生お手伝いします!
・ 専門家を派遣して古民家の修繕・再生の可能性、維持管理方法をアドバイスします。(無料)
・専門家を派遣して所有者の意向等を勘案した再生手法を提案します。(無料)
・古民家活用の実現可能性調査を行う場合は一部費用負担します。
・ 再生提案を実施したもの、あるいは、再生・活用計画を自主的に提案した古民家で、地域の活性化につながる地域交流施設等に再生する場合は改修工事費助成を行います。
県内には優良な古民家が数多く存在しますが、その価値を認識されないまま解体されていくケースが多くなっています。
そのため、既存ストックの有効活用、伝統的木造建築技術やまちなみ景観の維持・形成を目的として、兵庫県では地域の大工や建築士等による古民家再生を支援する「古民家再生促進支援事業」を実施しています。 |
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1 対象となる古民家
50年以上で、伝統的木造建築技術により建設された住宅(併用住宅を含む)が対象です。
伝統的木造建築技術とは以下の1〜5の全てを満たすもの。
1.軸組構法で造られた建築物。
2.接合金物に頼らない伝統的な継ぎ手・仕口を用いたもの。
3.筋交い等の斜材を多用せず「貫」を用いたもの。
4.主要な壁は土塗り壁等の湿式工法を用いたもの。
5.屋根は和瓦又は茅葺き等伝統的素材を用いたもの。 |
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(手続きの流れ)
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2 支援の概要 (1) 建物調査
古民家の所有者からの申請により、専門家を無料で派遣して建物の調査を行い、修繕や再生の可能性のほか維持管理方法などをアドバイスします。
専門家は、建築士、兵庫県ヘリテージマネージャー、大工棟梁など「ひょうご住まいサポートセンター」に登録された古民家再生の専門家の中から地域性などを考慮して派遣されます。
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(2) 再生提案
建物調査を行った古民家のうち、特に再生を推奨するものについては、古民家の所有者からの申請により専門家を無料で派遣して、所有者の意向等を踏まえて再生手法を提案します。
専門家は、建築士、兵庫県ヘリテージマネージャー、大工棟梁など「ひょうご住まいサポートセンター」に登録された古民家再生の専門家の中から地域性などを考慮して派遣されます。
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(3)フィジビリティ調査費補助
再生提案を行った古民家のうち、提案された用途への持続的な施設運営に向け、実現可能性などをあらかじめ調査・検討する場合、地元市町を通じて調査費の一部を補助します。
@県補助額
250千円かつ市町が補助する額の1/2以内。
A補助条件
・地元市町の調査費補助を受ける必要があります。
・調査費の合計額が1,000千円以内のものに限ります。 |
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(4)改修工事費補助
再生提案を行った古民家又は建物調査を行い再生・活用計画を自主的に提案した古民家で、地域活動や交流拠点、宿泊体験施設、店舗やレストランなど地域の賑わいや活性化に資する施設(地域交流施設等)に再生する場合、地元市町と共同で改修工事費の一部を補助します。
「再生」に古民家を用途変更して活用するに当たり、都市計画法、建築基準法、消防法、旅館業法等の関係法令の許認可等が必要となる場合がありますので、関係法令の許認可担当部局等へ事前にご相談下さい。
@県補助額
対象工事費の額に応じて、次のとおり。(市町が補助する額を限度)
対象工事費
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5百万円〜10百万円未満 |
10百万円〜20百万円未満 |
20百万円〜30百万円未満 |
30百万円〜 |
県補助金額 |
2,500千円 |
3,500千円 |
3,500千円 |
3,500千円 |
歴史的建造物の場合 |
2,500千円 |
5,000千円 |
8,500千円 |
10,000千円 |
※「歴史的建造物」とは、次の(1)〜(4)のいずれかに該当するものが対象です。
(1)景観法に基づく景観重要建造物、(2)県又は市町の景観条例等に基づく景観形成重要建造物等、(3)文化財保護法に基づく指定文化財・
登録文化財・又は重要伝統的建造物群保存地区の伝統的建造物、(4)「ひょうごの近代化住宅100選」に選定された住宅。
A補助条件
・地元市町から改修工事費を受ける必要があります。
・改修後において一定の耐震性を確保する必要があります。 ・改修後10年間は地域交流施設等として活用する必要があります。
また、事業完了後の活用状況について、県に対して定期的に報告していただく必要があります。 |
3.お問い合わせ先 (1)建物調査・再生提案に関するお問い合わせ
(公財)兵庫県住宅建築総合センター ひょうご住まいサポートセンター
〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1-1-3 神戸クリスタルタワー6階
TEL 078-360-2536 http://support.hyogo-jkc.or.jp/
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(公財)兵庫県住宅建築総合センター
ひょうご住まいサポートセンター
TEL 078-360-2536 ホームページ http://support.hyogo-jkc.or.jp/ |
(2)フィジビリティ調査費補助・改修工事費補助に関するお問い合わせ
兵庫県県土整備部住宅建築局住宅政策課住宅政策班
〒650-0044 神戸市中央区下山手通5-10-1 兵庫県庁第1号館11階
TEL 078-362-3583 http://web.pref.hyogo.lg.jp/ks26/wd27_000000038.html |
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4.兵庫県下市町で行われている古民家再生(改修工事)への支援制度
市町 |
制度名 |
担当課名 |
電話番号 |
神戸市 |
里づくりの拠点施設等改修支援事業 |
農政部計画課 |
078-322-5353 |
尼崎市 |
市空き家子育て、新婚世帯向け改修費、エコリフォーム等助成事業 |
市住宅・住まいづくり支援課 |
06-6489-6608 |
たつの市 |
たつの市古民家再生促進支援事業 |
まち未来創造課 |
0791-64-3167 |
神河町 |
神河町古民家再生促進支援事業 |
ひと・まち・みらい課 |
0790-34-0002 |
豊岡市 |
豊岡市古民家再生促進支援事業 |
エコバレー推進課 |
0796-21-9096 |
養父市 |
養父市古民家再生促進支援事業 |
土地利用未来課 |
079-664-1410 |
朝来市 |
朝来市古民家再生促進支援事業 |
都市開発課 |
079-672-6127 |
篠山市 |
篠山市空き家活用事業 |
創造都市課 |
079-552-5106 |
洲本市 |
古民家再生促進支援事業 |
企画情報部企画課 |
0799-24-7614 |
淡路市 |
淡路市古民家再生促進支援事業 |
まちづくり政策課 |
0799-64-2506 |
南あわじ市 |
南あわじ市古民家再生促進支援事業 |
ふるさと創生課 |
0799-43-5205 |
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兵庫県の「空き家活用支援事業」(平成30年度)
空き家を活かしてみませんか。
空き家のリフォーム費用を助成します。
兵庫県では、空き家の有効活用や地域の活性化を図るため、一戸建ての空き家や共同住宅の空き住戸を住宅や事業所、地域交流拠点として活用しようとする方に対し、改修費の一部を補助します。
(1) 事業内容
@ 対象市町:神戸市、尼崎市、西宮市、明石市、姫路市※1を除く市町の区域(姫路市の旧香寺町・安富町・夢前町・家島町の区域は対象)、明舞団地の区域。ただし、姫路市の旧香寺町・安富町・夢前町・家島町の区域は対象。
A対象建築物(次の全てを満たすもの):一戸建ての空き家・共同住宅の空き住戸、 (@築20 年以上 Aトイレ等の水回り設備を10 年以上更新していない
B空き家期間が6 ヶ月以上 C一定の耐震性を確保(旧耐震の場合))
B対象者:空き家を活用する者。
C対象の区域:市街化区域以外の区域。ただし、合併前の旧町(旧滝野町・香寺町・新宮町・揖保川町・御津町)中心部の市街化区域は対象。明舞団地の区域
D対象経費:改修費(空き家の機能回復又は設備改善に必要な工事費)
E対象工事費 (補助率):「住宅型」(一般住宅、若年・子育て世帯)の戸建・共同(明舞団地は対象外)、「事業所型」の戸建・共同、「地域交流拠点型」の戸建・共同の区分ごとに、補助金額及び補助率が決められています。
(2) その他注意事項
@要件について
・本事業活用後、改修した建物を10年以上活用することが必要です。
・都市計画法、建築基準法、旅館業法、農地法等の許可等が必要な場合があります。
※市街化調整区域内の空き家活用する場合は、都市計画法の許可手続が必要となる場合がありますので、事前に市役所又は町役場の開発許可部局にご相談ください。
A 応募について
・申請書類を応募期間内に、市町の担当窓口に提出してください。
様式は、兵庫県HP(兵庫県 空き家活用支援事業で検索)より入手してください。
B事業について
・工事請負契約前に本事業に応募し、県から交付決定を受ける必要があります。
・年度末の指定日までに事業を完了し、完了実績報告書を提出する必要があります。
C補助について
・補助金は、完了実績報告書の提出後に実施する検査に合格した後に交付します。
・同様の事業を実施している場合がありますので、市町の制度もご確認ください。
(3)お問い合わせ先
兵庫県県土整備部住宅建築局住宅政策課
〒650-0044 神戸市中央区下山手通5-10-1 兵庫県庁第1号館11階
TEL 078-341-7711 内線4641
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兵庫県の住宅政策課の「空き家活用支援事業の実施」 |
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兵庫県の「農山漁村の空き家改修助成」(平成25年度〜)
農山漁村にあり、柱や梁といった木造在来工法で建築され、水回りの設備などを今の生活スタイルと合せる必要のある戸建て住宅に、最大100万円の改修費が助成されます。
空き家に10年以上住もうとする人や、所有している空き家を賃貸住宅として活用する人が対象となります。 ※申込み・問い合わせ:兵庫県住宅建築局住宅政策課まち再生企画係 TEL 078-341-7711 内線4844 |
最近の動向 |
(1)古民家改修に力を発揮している集団があります。篠山市丸山地区の空き家の古い建物と移住や活用を目指す人たちとのマッチングを促進するために、古民家を改修してきた工務店などの若手職人さんたちが、左官や塗装も含めた職人集団「若匠」を結成して、技術の修練、伝承の良い場となっています。(2016年10月)
(2)篠山市は、2017年度(H29年度)から、所有者から寄付された空き家を改修して、移住や起業をする人に貸し出したり売却したりする制度を始める。土地付きの建物や土地の寄付申し出に対し、専門家専門業者による傷み具合等改修や活用の可能性を精査する。篠山市は基金(3千万円)を創設して、年間2件程度を改修、貸した家賃収入や売却益で改修費をカバーする。この制度により、移住者が増えることや、改修工事等で地元業者も潤い、歴史的な家屋や景観の保全にもつなげたいとしている。(2017年3月) |
(2011年7月〜、2018年8月) |
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