執筆活動
 自著紹介『歌が私を癒し励ましてくれる』(嶋 雷堂)
自著紹介『歌が私を癒し励ましてくれる』(嶋 雷堂)
文芸社 2005.1.15 発行 (「嶋 雷堂」はペンネームです)
●はじめに(本書より)
 「歌は世につれ、世は歌につれ」は、ただ世情や流行歌の移り変わりを表しているだけではない。歌は一人一人の心情に受け入れられて流行り廃りを見せ、人もまたそれぞれの歌に癒され励まされ、そして導かれて今日ここにある。正に「歌は心身(み)につれ、心身(み)は歌につれ」と言える。
 現代はストレス社会、人は誰もが不安や悩みを持っている。それでも今日まで、目の前が真っ暗になった時に、心身ともに疲れ果てた時に、打ちひしがれて何もできなくなった時に、歌を聴き、口ずさむことでその歌によって癒され励まされてきた。歌が立ち直りを助けてくれたのである。
 懐かしい歌には人それぞれの生活体験、心の遍歴にまつわる思い出があり、そして歌に託された思い入れが必ずある。人がそれぞれであるように、思い入れのある歌もまたそれぞれである。人生の節目節目に遭遇し親しんできた懐かしい歌を聴くと、過去に歌、特にある曲で癒され励まされた自分自身の実体験が、その時の回復作用を伴って蘇ってくる。
 しかし、歌を聴くだけでなく、その歌詞を読むことでも同じ効果が得られる。歌詞を読み始めると、読むスピードが実際のメロディの進行速度と同調し、あたかもその曲をテープやCDで聴いているかのようにそのメロディが頭の中に響いてくる。憧れの歌手本人が歌っているのが聴こえてくるような錯覚に加え、歌詞が表現している心境、語ろうとしているストーリーが、ただ読んでいるだけの身体を一気に包み込む。歌詞の持つ心理的背景が、現在の自分自身のマイナス状態の心境と同質のものであればあるほど受け入れ易く、その曲から徐々にプラス志向の明るい曲へと読み進めることで、暗く塞ぎ込み、悩みに苛まれていた気分が段階を追う毎に晴れて行き、癒され励まされる。
 歌は聴くしかないのではなく、読んで行くだけでも同様の効果が期待される。
 懐かしい歌を題材とした本は多いが、ここでは、各曲が流行していた時代背景や曲の由来、歌手のエピソードなどはあまり取り上げていない。また音楽療法の専門書でもない。懐かしい歌の特に歌詞が伝えようとする内容そのものに注目し、その曲における自分自身の体験に基づいた自助型癒し励ましの効果を期待したい。

 「団塊の世代(60歳〜)」を中心に、老成期を迎えられた「戦前生まれ世代(70歳〜)」、及び団塊の世代より少し下の「若者たち世代(40歳〜)」にとっての懐かしい歌を中心に取り上げているが、まだ十代の少年少女の若年層のみなさんたちも試みて欲しい。若年層にとっては馴染みが無く、難しいところではあろうが、逆に最近のリメイクやリバイバルされる懐かしい歌を見直し、自分たちの世代の歌として同化させたり、あるいは年長の世代の心情を理解する一助となればよい。
 常に、身近に置いて、ストレス状態に陥ったら直ちに読み始めてほしい。(2005年 嶋 雷堂)

●概要について(本書「目次」等より)
第1章  読んで癒され励まされる! 懐かしい歌
(1)音楽は癒し励ましに効く
(2) 音楽の中でも歌がいい
(3) 身近な歌が一番
(4) 懐かしい歌が主役
(5) 心が癒され励まされる
(6)歌詞を読むと歌が聴こえてくる
(7) 自分で今の心境を自己分析してみよう
(8) 今の気分はどんな状態?
(9) 癒し励ましの段階(第2章に詳細)
(10) 年代によって違うお気に入りの懐かしい歌
第2章  癒し励ましへのステップ・アップ、気分最適の懐かしい歌集
 懐かしい歌がどの様な事態や情景、心情を歌っているのか、悲しみ、失恋、別れ、未練、強がり、幼少化、望郷、母の愛、相愛、求愛、勇気、希望など、その歌詞から曲の性格や意味合いから同様のものをグループ化する。
今陥っている状態がどの分類に属するかを認識し、その段階から順次上の段階へと読み進んで行くことにより、自分の気持ちを整理し、落ち着かせ、徐々にでも改善方向へと気持ちを持って行く。
 懐かしい歌の持つシチュエーションを最悪の状態から悟りきった幸せな状態まで、5つの段階(ステージ)にまとめてみる。
(1)第1段階は、「ストレス真っ只中」である。ここには、8つのグループが続く。
   @絶望、挫折・・・・・・・・「人生の危機、命の危機、最悪の事態だ」
   A失恋・・・・・・・・・・・・・「私はあなたの愛を失った」
   B死に別れ・・・・・・・・・「私を置いて逝ってしまうなんて」
   C届かぬ愛、報われぬ恋・・・「片思い、報われなくても愛し続ける」
   D身を退く別れ・・・・・・・・・「あなたが幸せなら私は身を退きます」
   E悲しみ、怒り、恨み・・・・「涙が止まらない、こんちくしょう」
   F別離・・・・・・・・・・・・・・「離れ離れ、結局は一人で生きて行く」
   G孤独、無常感・・・・・・・「一人寂しく、何のために生きるのか」
(2)第2段階は、混乱を脱して、「耐え忍ぶ、慰め」。
   @我慢、慰め・・・・・・・・・・・「今は耐える時、我慢の時」
   A悔やみ、未練・・・・・・・・・「悔やんでも忘れられるものではない」
   Bお酒で逃避、忘却・・・・・「飲まなきゃ気が狂ってしまいそうだ」
   C失意の旅立ち・・・・・・・・「悲しみに打ちひしがれ、あなたの元を去って行く」
   D流れ者・・・・・・・・・・・・・・「行く宛のない流れ旅」
   Eおどけ、義侠、パロディ・・・・・「苦しくても平気さ、まるでお笑いだね」
   F納得、諦め、いさぎよさ・・・・・「なってしまったことは仕方が無いじゃないか」
(3)第3段階は、少し気持ちが落ち着きを見せ始めて「子供帰り、現実逃避」を見せる。
   @童心回帰・・・・・・・・・「子供の頃に聞いたあの歌、そして主人公は私」
   A学生時代・・・・・・・・・「あの懐かしい学園キャンパスの世界が蘇る」
   B望郷、郷愁・・・・・・・・「思い出すあの頃、故郷を出てから幾歳月」
   C田舎の原風景、のどかさ・・・・・「憂鬱な気を振り飛ばし和らげる理想郷」
   Dエキゾチズム(外国風情)・・・・・「非日常の雰囲気、エキゾチックな外国の風情」
   Eユーモア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「気が晴れてくると、冗談の一つも言ってみたい」
(4)第4段階は、「愛を求めて」である。
   @母の愛、母への愛・・・・・「無条件に注がれる暖かい心、何でも解るその愛」
   A家族愛・・・・・・・・・・・・・・「家族はみな一緒、親子兄弟姉妹みんな仲良しだ」
   B若い愛、幼い愛・・・・・・・「恋の本質なんて考えない、二人でいるだけでいい」
   C純愛・・・・・・・・・・・・・・・・「まるで青春ドラマの主人公を演じているみたい」
   D夫婦愛・・・・・・・・・・・・・・「長年連れ添って、この世にあることに意味がある」
   E夜の街の恋・・・・・・・・・・「赤い灯、青い灯、別世界での愛を求めて」
   F愛情、慕情、友情・・・・・「恋は楽しく苦しくても、愛しいあなたは永遠です」
   G愛を求めて・・・・・・・・・・「私はあなたが好きなんです」
(5)第5段階は、「反発、積極化から立ち直り、希望の出立」に至る。
   @不撓不屈、情熱・・・・・・・・・「負けるものか、もうクヨクヨなんかしないぞ」
   A勇気、志気高揚、威勢・・・・「やると決めたら絶対やるんだ」
   B決別、再起・・・・・・・・・・・・・「きっぱりとけじめを付けて、もう一度やり直しだ」
   C祈り、爽(さわ)やかさ・・・・・「気分さっぱり、純粋な気持ち、神の存在をも意識」
   D希望、ほほえましさ・・・・・・・「前途に希望溢れる、新しい世界が広がっている」
   E結婚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「二人で行こう、幸せな人生を求めて」
   F生活の謳歌、生活訓・・・・・・「毎日が充実、世の中こんなに明るく楽しいものか」
   G人生とは・・・・・・・・・・・・・・・・「生きてきて良かった、色々あったがこれが人生」
と辿ってきて、大団円を迎える。
本書にでてくる、癒し励まされる懐かしの曲・作詞作曲歌手の一覧表
参考文献
おわりに
●「歌が私を癒し励ましてくれる」 解説掲載曲一覧表
 ※ 各世代にとっての「懐かしのメロディ」を選曲のターゲットとしていますので、最近の歌はノミネートしておりません。
 ※ 「若者世代」の範疇は、主に40歳前後の方を想定しています。
グループ
戦前世代(70歳〜)
団塊世代(60歳〜)
若者世代(40歳〜)
第1段階 @絶望、挫折 星の流れに 昭和枯れすすき 帰らざる日々
A失恋 テネシー・ワルツ 今日でお別れ 涙のリクエスト
B死に別れ 長崎の鐘 愛と死を見つめて 群青
C届かぬ愛、報われぬ恋 影を慕いて 誰よりも君を愛す もしもピアノが弾けたなら
D身を退く別れ 好きだった 君こそわが命 忘れていいの
E悲しみ、怒り、恨み 真白き富士の根 原爆許すまじ 哀しみ本線日本海
F別離 白い花の咲く頃 シクラメンのかほり 恋人よ
G孤独、無常感 船頭小唄 誰もいない海 影法師
第2段階 @我慢、慰め ガード下の靴みがき どしゃぶりの雨の中で 飾りじゃないのよ涙は
A悔やみ、未練 女の意地 悲しい酒 待つわ
Bお酒で逃避、忘却 酒は涙か溜息か 氷雨 酒と泪と男と女
C失意の旅立ち 湖愁 津軽海峡・冬景色 矢切の渡し
D流れ者 北帰行 東京流れもの 風雪ながれ旅
Eおどけ、義侠、パロディ お祭りマンボ 男はつらいよ ウェディング・ベル
F納得、諦め、いさぎよさ 君待てども いいじゃないの幸せならば 夜桜お七
第3段階 @童心回帰 仲よし小道 ドラえもんのうた 少年時代
A学生時代 鈴懸の径 学生時代 卒業写真
B望郷、郷愁 かえり船 ああ上野駅 北国の春
C田舎の原風景、のどかさ 夏の思い出 ちいさい秋みつけた 与作
Dエキゾチズム(外国風情) 上海ブルース パルナスの唄 無錫旅情
Eユーモア かぐや姫 およげ!たいやきくん だんご3兄弟
第4段階 @母の愛、母への愛 お母さんおぼえていますか おふくろさん 秋桜
A家族愛 人生の並木路 こんにちは赤ちゃん 野風増
B若い愛、幼い愛 星は何でも知っている 神田川 なごり雪
C純愛 すみれの花咲く頃 君といつまでも 長い夜
D夫婦愛 あゝそれなのに 夫婦舟 関白宣言
E夜の街の恋 東京ナイト・クラブ 夜の銀狐 男と女のラブゲーム
F愛情、慕情、友情 有楽町で逢いましょう この広い野原いっぱい そして・・・めぐり逢い
G愛を求めて 君の名は 骨まで愛して 天城越え
第5段階 @不撓不屈、情熱 異国の丘 そして神戸 負けないで
A勇気、志気高揚、威勢 若鷲の歌 海、その愛 宇宙戦艦ヤマト
B決別、再起 吹けば飛ぶよな 夜明けのうた TOMORROW
C祈り、爽やかさ 公園の手品師 虹と雪のバラード 翼をください
D希望、ほほえましさ 丘を越えて 見上げてごらん夜の星を いい日旅立ち
E結婚 新妻に捧げる歌 てんとう虫のサンバ 乾杯
F生活の謳歌、生活訓 青い山脈 いつでも夢を 時代おくれ
G人生とは 喜びも悲しみも幾年月 愛燦燦 川の流れのように

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