兵庫県の地場産業(平成28年・2016年版)  
●地場産業とは
 地場産業とは、一言でいうなら¨ある特定地域において存在する伝統的な工業¨である。
 その生成要因には、白然的要素として気候・地形・地質・水質等が、社会的要素として資本・技術・労働力・交通等が挙げられ、その他在来の農業・林業・工業等、崖業の影響もある。
 地場産業の定義については諸説があり解釈は一様でないが、中小企業庁の定めた地場産業実態調査等事業実施要領(昭和55年4月19日 企庁第531号)には以下のとおり概念規定されている。
@地元資本をベースとする中小企業が一定の地域(概ね県内)に集積していること。
A地域内に産出する物産等を主原料とし、または蓄積された経営資源(技術、労働力、資本等)を活用し、他地域から原材料を移入して加工を行っていること。
Bその製品の販路として、地域内需要のみならず地域外需要をも指向していること。

灘五郷の清酒
1.概要
 兵庫県の産業は、阪神、播磨の二大工業地帯における鉄鋼・造船・機械あるいは化学工業を根幹として発展してきた。しかし一方では、郷土の歴史と伝統に培われ、地域社会と密着した地場産業の産地が県内各地で形成されています。
 県内には、5業種(大分類)、40数業種の地場産業が集積しています。特に、清酒(灘の酒)、ケミカルシューズ、皮革、手延素麺、かばん、線香、釣針などは全国トップシェアを誇り、この他にも、播州織や三木金物(利器工匠具)、淡路瓦などが全国的に著名な産地として知られており、地域における重要な役割を果たしています。
  平成26年における県内の地場産業は、判明分と旧データによる補てんでの集計で、企業数2,275、生産金額9,379億円である。前年との正確な比較はできていません。
 地場産業の産業別構成(5業種)をみると、判明分での比較で、企業数では化学・雑貨28.4%、食料品25.2%、繊維23.8%、機械・金属15.7%、窯業・土石6.9%となっている。生産額では繊維67.0%、食料品15.2%、化学・雑貨11.2%、機械・金属6.2%、窯業・土石0.4%となっている。
 平成22年から26年にかけて、業種によっては、組合の解散などによりデータの収集が総合できなくなったが、全体的にみて、企業数、従業員数、生産金額はほぼ横ばい状態と思われる。
2.地場産業と工業全体との比較
 バブル崩壊後国内景気が減速すると、地場産業の業績も急速に低下し。平成4〜5年に県内工業全体、地場産業共にマイナスの伸びとなったが、平成6年に入り大手企業の生産性が回復すると、県内工業と地場産業の格差は更に拡大した。平成7年1月17日には兵庫県南部地震が発生し、神戸市、阪神及び淡路地城の地場産業は極めて深刻な打撃を受けたが、インフラの復興は現在、ほぼ終了しているといわれている。平成8年は全国的にも景気回復の兆しがあり、地場産業においても生産金額は0.4%と少ないながらもプラスに転じた。その後平成9年から、日本は金融危機に陥り景気後退の様相は鮮明となっていく。特に県内においては重厚長大産業の落込みの影響が大きく、景気は急速に厳しさを増していった。更に、アジアの経済が急回復してきていることから、地場産業との競合が激しさを増している。アジア製品の品質が向上してきている上、安価なことから、地場産業は完全に劣勢となり、生産金額は平成15年まで前年割れが続いていた。もっとも、平成14年から続く景気拡大の効果が地場産業にも及び、平成16年はI.1%増、平成17年は1.6%増となり、平成18年は1.3%減と一時的に減少に転じたが、平成19年度は再び2.1%増となっていた。しかし、平成20年度は2.2%減、平成21年度は3.1%減で、アメリカのサブプライムローン問題に起因する世界経済の悪化等が原因とみられる。
3.当面する課題
 長引く不況の影響や産地間、企業間競合の激化に加えて、安価な海外製品の流入、他業種からの市場参入などから、地場産品の販売量は減少のー途を辿ってきた。また、個人消費の低迷に加え、消費者の嗜好の変化、原材料費の高騰等、地場産業を取り巻く環境は厳しさを増している。また、産地内においては、景気変動等一過性の要素のみならず、高齢化、後継者難、生産拠点の海外シフトや複雑な生産、流通形態など様々な課題を抱えており、構造的変革を迫られている。
 近年は景気の動向にも左右され、一進一退の状況が続いき、零細な産業組合などでは維持が難しくなり、解散する組合も出始めている。
4.兵庫県地場産業の一覧表(平成26年・2014年のデータ)
 各業種・分野の、企業数、(従業員数)、生産数量、生産金額、(輸出状況)、主産地を一覧表にまとめています。但し、平成23年から輸出状況、平成24年から従業員数のデータ集計がありません。

兵庫県地場産業一覧表
(データ:平成26年・2014年)


※「左のバナー」又は「写真」をクリックして下さい。
(PDFファイルが開きます。)
※過年度分の兵庫県地場産業一覧表
※下の「LINK」ボタンをクリックして下さい。
平成25年
平成24年
平成23年
平成22年
平成21年
平成20年
平成19年
平成18年
※最近の地場産業項目変動の履歴
 産地組合解散や製造がなくなった等の理由により、企業数、従業員数、生産金額、生産数量を集計した「県内地場産業一覧」から削除した項目。
凍豆腐
企業数が0となったため(平成13 年数値より削除)
クリスマス用品
組合解散により調査不能及び現在は輸入販売が主であるため(平成13 年数値より削除)
鯉のぼり
生産がなくなったため(平成14 年数値より削除)
竹田の家具
企業数減少のため(平成15 年数値より削除)
工業用革手袋
組合解散により調査不能のため(平成18 年数値より削除)
毛皮製衣服
製造を行っていた協業組合解散のため(平成20 年数値より削除)
縫製
組合解散により調査不能のため(県内地場産業一覧(平成23年数値)より削除
西播磨の家具
組合解散及び生産がなくなったため(県内地場産業一覧 (平成23年数値)より削除)
国包建具
組合解散により調査不能のため(県内地場産業一覧(平成23年数値)より削除)
製畳
生産額等調査不能のため(県内地場産業一覧(平成23年数値)より削除)
ばね
組合解散による調査不能のため(県内地場産業一覧(平成23年数値)より削除)
●業種・分野毎の「沿革及び特色、事業活動」
(平成28年・2016年版)
※ 下の業種のボタンまたは写真をクリックして下さい。(各PDFファイルが開きます。)
手延素麺 (播州)、
手延素麺(淡路)、
乾麺、
清酒、
醤油、
姫路の菓子
播州織、
糸・染色、
但馬ちりめん、
靴下、
作業手袋、
撚糸、
神戸アパレル
皮革(一次製品)、にかわ・セラチン、ゴム製品、ケミカルシューズ、マッチ、線香、神戸家具、そろばん、木工芸品、杞柳製品、豊岡のかばん、故繊維加工、ポリプロピレン樹脂紐、真珠核、真珠加工
出石焼(磁器)、
丹波立杭焼(陶器)、
粘土瓦、
宝殿石(竜山石)
鎖、
ボルト・ナット、
利器工匠具、
家庭刃物(小野金物)
鎌、
ゴルフ用具、
釣具、
釣針
参考1:【地場産業の最近の動き】
平成年
企業数
前年比
(%)
従業員数
前年比
(%)
生産金額
(百万円)
前年比
(%)
7
5,422
99.9
57,272
96.6
1,208,253
91.5
10
4,759
95.3
52,427
98.7
1,451,526
122.9
15
3,834
96.8
40,008
96.2
1,172,005
94.1
17
3,821
102.8
43,414
111.1
1,203,733
101.6
18
3,597
94.1
41,798
96.3
1,188,263
98.7
19
3,415
94.9
54,603
130.6
1,212,743
102.1
20
3,215
94.1
53,080
97.2
1,185,567
97.8
21
3,131
97.4
52,303
98.5
1,148,565
96.9
22
2,336
-
43,326
-
1,047,789
-
23
2,337
-
42,390
-
952,283
-
24
2,348
-
-
-
961,549
-
25
2,341
-
-
-
1,068,757
-
26
2,275
-
-
-
937,929

-

【平成26年の注】
(1)各数値は原則、産地組合からの報告数値。ただし、次のものは平成26年工業統計数値
   @清酒,皮革,ゴム製品,線香,かばん,真珠加工,鎖,利器工匠具,ゴルフ用具,釣具の生産金額、A清酒,線香,鎖の生産数量、
   B釣具,ゴム製品,ゴルフ用具の企業数は、平成26年工業統計数値
(2)神戸アパレルの企業数、生産金額は神戸ファッション産業規模調査((公財)神戸ファッション協会:平成28年3月発行)
   (生産金額は神戸市に本拠を置くアパレル企業の売上高)
(3)杞柳製品の企業数,生産金額は平成23年数値(H24経済センサス数値)
   (平成26年工業統計(H26年数値)は、全数調査でないため統計なし。)
(4)@但馬ちりめん,神戸アパレル,ゴム製品,神戸家具,杞柳製品,かばん,真珠加工,利器工匠具,家庭刃物,ゴルフ用具,釣具の生産数量及び、A但馬ちりめんの生産金額は、組合が統計をとっておらず、かつ工業統計からも抽出不可のため、記載なし
【集計上の注】
※ 平成7年より姫路和菓子を追加。
※ 平成10年より、冲戸アパレルの生産金額を全国出荷額へ変更したため、同年の総生産金額は大幅増となった。
  (平成9年の神戸アパレルの生度金額を全国出荷額に置き換えると総生産金額は1,559,084百万円となり、
   平成10年の前年比は93.1%となる。)
※ 平成13年より、凍豆腐を除外(生産されなくなったため)。
※ 平成13年より、クリスマス用品を除外(輸入販売が主であるため)。
※ 平成14年より、鯉のぼりはを除外(生産されなくなったため)。
※ 平成15年より、竹田の家具を除外(企業数減少のため)。
※ 平成18年より、工業用革手袋を除外(組合解散のため)。
※ 平成17年より、神戸アパレルの調査先を組替えたため、同年の数値は大幅増となった。
  (平成16年の数値を平成17年の調査対象に置き換えると、企業数は3,875社、総従業貝数は39,210人、生産金額は
   1,201,249百万円となり、平成17年の前年比はそれぞれ98.6%、100.3%、100.3%となる。)
※ 平成18年は神戸アパレルの調査数が速報値であったため、確定数を用いた平成19年度の従業員数が大幅増となった。
  (平成18年の数値を平成19年と同じ確定値に置き換えると、企業数は3,593社、総従業員数は55,783人、生産金額は
   1,212,163百万円となり、平成19年の前年比はそれぞれ95.0%、97.9%、100.0%となる。)
※ 各数値は原則、産地組合等からの報告数値。 ただし「線香の生産数量」及び「清酒、ゴム、線香、かばんの生産金額」に
  ついては工業統計数値。 また神戸アパレルについては、神戸ファッション産業規模調査の数値。
  (生産金額は神戸市に本拠を置くアパレル企業の売上高)。
※ 平成20年より、毛皮製衣服を削除。(製造を行っていた協業組合解散のため)。
※ 平成22年は、縫製、西播磨の家具、製畳、鎌、ばね、の組合が解散し、データ収集不可のため、対前年比較はできない。
   また、ゴム製品、杞柳製品の、企業数および従業員数が不明で集計に入っていない。
※ 平成23年は、手延素麺(播州)の従業員数が、ポリプロピレン樹脂紐の企業数が不明で、集計に入っていない。
   (推計では、約2,400人程度か。合計では、44,790人か)。鎌は、集計に入れている。
※ 平成24年はから、従業員数が集計されていない。 清酒は灘五郷だけでなく、業界全体データも記載。
※ 平成25年のうち、神戸アパレルと杞柳製品は平成23年のデータで集計。釣具、但馬ちりめんは、生産金額が不明につき   集計に入っていない。
参考2:【全国的に主要地位を占める地場産業】
 都道府県別で比較して、全国トップクラスの地場産業は次のとおりです。
(1) 全国1位に、手延素麺(播州)(シェア39.1%)、清酒(同27.4%)、清酒(うち灘五郷)(同24.0%)、皮革(一次製品)(同52.1%)、ケミカルシューズ(同22.7%)、マッチ(同88.3%)、線香(同41.1%)、かばん(同34.4%)、釣針(同87.2%)があります。
(2) 全国2位には、醤油(同14.4%)、靴下(同9.5%)、真珠加工(同35.9%)。
(3) 全国3位には、綿織物(播州織)(同9.0%)、粘土瓦(同8.2%)。
(4) 全国4位には、利器工匠具(同13.0%)。 
分類
業種
企業数
生産金額
(百万円)
全国比
(%)
全国順位
食料品 手延素麺(播州)
459
16,083
39.1
1位
清酒
84
115,393
27.4
1位
〃(うち灘五郷)
28
101,122
24.0
醤油
12
7,551
14.4
2位
繊維 播州織
191
23,900
9.0
3位
靴下
66
7,750
9.5
2位
化学・雑貨 皮革(一次製品)
271
23,977
52.1
1位
ケミカルシューズ
69
29,910
22.7
1位
マッチ
20
1,715
88.3
1位
線香
15
11,266
41.1
1位
かばん
53
10,058
34.4
1位
真珠加工
74
4,809
35.9
2位
窯業・土石 粘土瓦
85
3,504
8.2
3位
機械・金属 利器工匠具
153
20,385
13.0
4位
釣針
73
11,342
87.2
1位
注)(1)企業数及び生産金額は原則、産地組合からの報告数値。
     ただし、以下のものは平成25年工業統計数値
     ・清酒,真珠加工,利器工匠具,皮革,かばん,線香の生産金額
  (2)順位・全国シェアは原則、平成25年工業統計に基づき算出(金額ベース)
     ただし、下記の4業種については、以下の資料に基づき算出
     ・播州織:「日本綿スフ織物工業組合連合会集計・綿主要産地別生産数量」(数量ベース)
     ・釣針:「釣用品国内需要動向調査報告書(一般社団法人日本釣具用品工業会)」(金額ベース)
     ・手延素麺:「食料新聞社統計資料」(数量ベース)
     ・マッチ:「一般社団法人日本燐寸工業会統計資料」(数量ベース)
※出典資料:『兵庫県の地場産業の紹介』2016年より
 (兵庫県産業労働部産業振興局工業振興課から資料等の提供をいただきました。)
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