郷土史探訪のすすめ
  (郷土史にかかる談話 1) 
郷土史探訪のすすめ
郷土史探訪に出かけませんか
 生涯を通じての学習や戸外活動のテーマによく取りあげられるものに、「郷土史」があります。
  身近な史実や偉人たちにまつわる郷土史への興味を持って、ゆかりの史跡を探訪し、郷土の偉人たちの足跡を辿る。こうした知的要求をエネルギーとした郷土史探訪、即ち郷土史へのアプローチ活動が今、老若男女各世代において注目されているのは、それ自体がツーリズムの原点でもあり、また郷土史探訪に自分の人生のツーリズムそのものを見出していることに他なりません。
 郷土史に興味を持つと行動範囲が拡がってきます。
 まずは、関連書籍や文献などからその史実を確認し、実際に史跡や現地を見聞・踏査してより深くより詳細に、範囲や対象を広げた史実を学ぼうとします。
 そして、その史実が持つ意味合いを昔と現在とで評価を比較したり顕彰したり、古文書や遺跡、文献、研究成果などの保存、往時の再現、伝承などに参加したくなってきます。
 図書館や古文書館、資料館や記念館、博物館などへの日参から始まって、個人としての現地への旅行、史跡見学、踏査、また、郷土史をテーマにしたカルチャー・スクールへの参加と同好の士との交流、そして、郷土史サークルで現地や関連地、史跡、博物館への探訪ツアー参加、現地関係者との交流と、行動範囲は次々と広がって、楽しみもまた倍増して行きます。
 そこから、郷土史だけでなく、広く日本から世界の歴史、史話への興味に後押しされて、国内のみならず海外にまで観光や踏査に出かけて行くことになります。
  ちなみに、神戸市内では、福原の都や源平合戦、楠正成と建武の中興、幕末期の神戸事件、明治維新と居留地、大商社だった鈴木商店、戦前戦後の新開地の興隆など、探究探訪するアイテムに限りはありません。
 県内では、古くは播磨風土記ゆかりの地巡り、織田信長の播磨攻め、三木城址と別所長治、千姫と姫路城、生誕地がありお城の造園なども手がけた剣豪宮本武蔵、忠臣蔵の播州赤穂、近松門左衛門、郷土の誇る豪商高田屋嘉兵衛などなど。
 県外でも、兵庫県の郷土史にゆかりの史跡は多くあります。赤穂義士の東京高輪の泉岳寺(東京都)、近世においても、神戸とゆかりが深いラフカディオ・ハーン(小泉八雲)(島根県松江市)やヴェンセスラオ・デ・モラエスの旧居宅や資料館(徳島県徳島市)など。
 海外に足跡を残した昔の郷土人たちの活躍も特筆される。マニラへ追放された高山右近、遭難後にアメリカで少年時代を過ごした兵庫県播磨町出身のジョセフ・ヒコ。郷土人でなくても、日本人ゆかりの地としては、中国への遣唐使関連、アユタヤの日本人町跡、維新の志士や明治の文豪や画家たちの闊歩したロンドンやパリなどがあります。
 郷土史探訪は何もお年寄りの趣味だけにとどまりません。みなさんも、自分にゆかりのある歴史を辿ってみませんか。
郷土史探訪のロマン
 神戸で生れ神戸で育った当時小学生の私に、多くの郷土の歴史に由来する史跡が身近に存在していることを教えてくれたのは、新聞の連載コラム記事でした。
 何時も遊んでいる神社や広場、通学路などで見かける何の変哲も無いと思っていた石碑などが取り上げられ、その場所こそが子供の頃から絵本や教科書などで知っていた史話の舞台だったのです。
 その日から、新聞の切り抜きを貼ったスクラップブックとお小遣いで買った神戸市街地図を抱えて、日曜日毎にバスや市電を乗り継ぎながら紹介された史跡を訪ね歩く郷土史少年へと変身しました。
 ゆかりの地に立つと、記事に紹介された数十年から千年以上前の有名無名の出来事、その場面が眼前に繰りひろげられて、あたかも歴史の時間を超えて傍観しているかのような実感を得ました。中学、高校進学につれて、歴史の舞台となった史跡巡りが、自宅周辺から神戸旧市街へ、近隣市町から兵庫県全域へと拡がって、現地に我が身を置いた時に胸を振るわせる臨場感がより広くより深い史話の世界に踏み入らせることになったのです。
  神戸や兵庫の郷土史に関する書籍の購入、そして、読破した史跡や現地の視察、確認のための踏査など。公共交通機関のほか自由の利く自転車による探訪の日々は、市内の大概の史跡を踏破するには充分でした。大人になってからのマイカーは機動力を飛躍的に向上させ、兵庫県内の行き難かった残りの史跡もほとんどカバーしました。
 そんなある時、江戸時代末期のとある村の偉人を顕彰した石碑が郷土紹介ガイドブックにあり、訪ねて行って撮った写真を見た母親が、
「この人は私の曽祖父で、あなたのお祖父さんのお祖父さんにあたる人だ」
 これにはびっくり。そう言えば、くだんの村は私の母方祖父の出身地だ。たまたまの偶然とはいえ、こういったことに遭遇するかも知れないことこそが郷土史探訪のロマンなのではないでしょうか。
※ツーリズム研究会会誌『動き始めたツーリズム』第1号(2003年2月)掲載の「郷土史探訪ツーリズムの薦め」(中嶋邦弘)より
郷土史探訪(現地案内)のプロジェクト
●NHK神戸放送局
県内の隠れた名所・旧跡・歴史を講師の歴史家の方と共に訪ねて歩く、視聴者参加型の紀行番組『新兵庫史を歩く』。
一般公募・応募者多数時は抽選
電話078-252-5000代
http://www.nhk.or.jp/kobe/event/
●ひょうご歴史文化フォーラム
地域の歴史や文化を愛好する人々が集い、情報を交換しながら、学びあうことを目的として活動。
会員制(事務局は、兵庫県立歴史博物館)
電話079-288-9011
http://www.geocities.jp/rekibunf/index.html
●兵庫県立歴史博物館友の会
郷土の歴史を愛する人の集まりで、歴史博物館を通して、会員の生涯教育を支援し、会員相互の親睦を深めるとともに、歴史博物館の事業と協力して、地域文化の向上を図る。
会員制(事務局は、兵庫県立歴史博物館普及課)
電話079-288-9011
http://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/official/tomonokai.html
●播磨国風土記を歩く会
2004年から開講、参加者延べ2,000人。
播磨学研究所会員は参加料割引(事務局は、姫路獨協大学播磨総合研究所内)
電話079-223-2301
http://www.himeji-du.ac.jp/region/openlecture/harimakai/topics.html
●神戸新聞文化センター(KCC)
公開講座「兵庫・神戸歴史ウォーク(現地講座)」
神戸近郊の身近な歴史を訪ね歩きます。三宮会場にて受講料必要です。(入会金、会費は不要)。土曜日月1回で6回開催。
電話078-265-1100
http://kcc.kobe-np.jp/course/
●尼崎市中央地域振興連携推進会議の歴史ウォークラリー
同推進会議の統一テーマ事業「はばたけ中央っ子」で実施される歴史ウォークラリーin城内・築地。募集対象は、 児童・生徒および保護者の方。(問合せ:尼崎市立地域研究史料館)
電話06-6482-5246
http://www.archives.city.amagasaki.hyogo.jp/kikaku_c.html
●須磨歴史ウォーク
歴史豊かな須磨の史跡巡り。要所では、須磨歴史倶楽部会員による説明があります。
主催は、NPO法人須磨歴史倶楽部。
電話090-8539-8703
http://www.hi-net.ne.jp/kobo/rekisiku1/sumawalk/sumawalk.htm

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