淡路島から恐竜の化石発見(淡路竜)
  (郷土史にかかる談話 81)
 2004年4月に、アマチュアの古生物研究家が洲本市、和泉層群(約7000万年前)で発見した鳥脚類恐竜の化石が、発見後の共同追加発掘、クリーニング、同定作業の結果、新種のハドロサウルス科(ランベオサウルス亜科)恐竜であることを、県立人と自然の博物館などの研究グループ(ほかに発見者、北海道大学、岡山理科大学)が2021年5月に発表しました。

(県立人と自然の博物館資料より)
●ハドロサウルス科の恐竜とは
 白亜紀後期の後半(8350〜7060万年前)以降に急激に多様化し、オーストラリアとインドを除く全大陸に分布域を広げた植物食恐竜。口先が長く、平たいカモのような嘴(くちばし)が特徴。
 この淡路島で発見された恐竜(淡路竜)は、ハドロサウルス科の新属新種、日本誕生(淡路島)の神話にちなんで「ヤマトサウルス・イザナギイ(伊弉諾の倭竜)」と命名されました。
 学名が付いた恐竜は国内で9例目、2019年に北海道で発見された「カムイサウルス・ジャポニクス」以来で、関西での親族新種は初めて。
 ヤマトサウルスは、ハドロサウルス科の中でも原始型で、肩の骨が未発達なことから二足歩行だった可能性が高い。原始的なヤマトサウルスと進化形のカムイサウルスが同時代に生息していたことから、アジアがハドロサウルス科恐竜の繁栄地域だった可能性が窺えます。
 国内で約20箇所、恐竜化石が産出されています。兵庫県では2006年に丹波市の篠山層群(1億1,500万年〜9,700万年前と推測し、約1億1,000万年前が目安)から発見された竜脚類化石が草食系のティタノサウルス類の新属新種、学名を「タンバティタニス・アミキティアエ」(丹波竜)に先の2年前に発見されていた県内2箇所目です。
●発見された化石
 @分類==鳥盤目鳥脚亜目ハドロサウルス科(ランベオサウルス亜科)の一種
 A保存部位==歯骨(下顎の骨)とそれに伴う歯列、烏口骨(肩の骨)、頚椎、尾椎
 B時代==中生代白亜紀新世マーストリヒト期(約7200万年前)
 C大きさ==長さ53cm、高さ19cm(歯骨の保存部分)
 D推定体長==頭から尾まで7〜8m
 E推定体重==4〜5トン
●恐竜の産出した「和泉層群」地層と年代
 和泉層群は中生代白亜紀の終わり頃の地層で、愛媛県松山市付近から奈良県五条市付近に至るまで、中央構造線の北側に沿って分布しており、淡路島では、南部の三原郡および洲本市一体に広く分布している。和泉層群の年代は西から東に向かつて次第に新しくなっており、淡路烏の和泉層群はおよそ7千万年くらい前の、白亜紀新世のシャンバーニュ期とマーストリヒト期の境界付近の年代と考えられている。
 和泉層群からはアンモナイトや二枚貝などの化石か多数発見され、淡路島南郷は兵庫県内でも有数の化石産地となっている。
 淡路島の和泉層群からは、今回の恐竜化石の発見と相前後して緑町の淡路ふれあい公園内でアズダルコ科翼竜の頚椎化石が発見されているが、年代は今回の恐竜化石の方が少し新しいものと考えられる。(兵庫県立人と自然の博物館 発表資料より)

(県立人と自然の博物館資料より)
 丹波に続き、淡路でもアマチュアの愛好家による発掘、世界的な発見に繋がりました。今後とも研究機関と連携した成果が期待されます。
(2021年5月)
兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)
〒669-1546 兵庫県三田市弥生が丘6丁目
TEL 0789-559-2001   http://hitohaku.jp/
丹波竜化石工房
兵庫県丹波市山南町谷川1110 山南住民センター内
http://www.tambaryu.com/
北海道むかわ町「むかわ竜」
http://www.town.mukawa.lg.jp/3076.htm
むかわ町恐竜ワールド
https://mukawaryu.com/database/00002/
※関連する「丹波竜」に関係のページに、移ります。下の写真をクリックして下さい。
郷土史の談話室
(6)丹波竜へのいざない〜 恐竜化石大発見、その後の発見・調査研究成果

郷土史の談話室
(17)丹波はジュラシック・パークだ!
(丹波竜その2) 
※『兵庫県立人と自然の博物館』記者発表の資料を参照しました。
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